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20)悪魔の招来



 深い深い森の奥に、悪魔を崇拝してやまない女人の一族がいた。彼女たちは生まれたときから両目を隠すために布で目隠しをされ、亡くなるまで外すことがなかった。


 目隠しをすることで聴覚や第六感が鋭くなると信じられており、才能を認められた女性は目を潰すためにナイフで横一文字に傷を付けられる。そして傷を太い糸で縫われ、永遠に開かないよう処置をされた。


 糸は傷から出た血で真っ赤に染められ、悪魔の瞳に近い色へ変化する。


 瞳に傷を付けられた女性は一族の中でも高い地位を与えられ、悪魔に仕える巫女となる。巫女は幼いころから舞を徹底的に叩き込まれ、一日中でも踊り続けられる体力と数え切れないほどの舞の種類を覚えた。


 その舞は全て、悪魔を魔界から召喚するための儀式であり、巫女が悪魔を召喚することで他の一族から身を守っていた。


 女人しかいないこの特殊な一族はそのようにして生き残っていたのである。


 舞によって呼び出される悪魔は違う。巫女はその中から、最も相性の良い悪魔を呼び寄せた。


 相性の良さは悪魔と性交し、夜の営みの中で判断される。悪魔が巫女の身体を気に入れば相性の良い悪魔であり、そうでなければ今後、その悪魔を呼ぶ舞を踊ってもやってこないことが多かった。


 巫女たちは悪魔召喚を“招来(しょうらい)”と呼び、非常に尊く高尚な行為であると考えていた。彼女たち一族にとって悪魔とは忌むべき生物ではなく、神のような存在であったのだ。


 通常、一般的な巫女は一晩の舞で招来できる悪魔は4-5人であるが、優れた巫女は一度に数十人の悪魔を呼び出すことが出来たという。


 優れた巫女とは、数多くの悪魔と交わり、かつ悪魔から好まれる身体を持っている女性のことである。そんな巫女は悪魔の好みを熟知しており、物怖じせずどんな悪魔とも心を通わせる大きな器を持っていた。もちろん、悪魔の欲望に答えられる身体を持っていることは最低条件である。


 一族に語られる伝承によると、かつて百を超える悪魔と身体を交わらせた巫女が存在し、その巫女が舞うとおびただしいほどの悪魔が招来して、目前に迫る数千もの他種族を一瞬で壊滅させることが出来たと言われている。


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