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18)魔法旗



 魔法陣が発明された当初、この技術をどのようにして実戦で使うのか人々の頭を悩ませた。


 というのも、魔法陣はモノに刻み込むことで効力を発揮する代物であり、武器やアクセサリーのような物に刻むには魔法陣は大きすぎたのである。小物へ刻むためには繊細かつ細かな技術が必要であったがまだそのような技術は確立していなかった。


 そのため、魔法陣が発明された当初は主に建物などの大きなものに魔法陣は利用され、戦場で使われることは一切なかったのである。研究者たちは一度刻めば少ない魔力で魔法を発動できる魔法陣を戦場で使うことが出来れば、今よりも戦局ははるかに有利になると確信していた。


 そこで作り上げられたのが魔法陣を刻んだ「旗」である。魔法旗と呼ばれたその旗は一般的な旗よりも大きく、扱うにはかなりの筋力を必要とした。


 いざ戦場に導入されると魔法旗は圧倒的な力を発揮し、敵国にその名を(とどろ)かせるほどであった。しかし、旗は非常に目立つため狙われやすいという大きな弱点が存在した。そのため、魔法旗は戦場の後方に立って魔法を使わざるを得なくなり、次第に攻撃から支援へと特化していく。


 のちに、複数の魔法旗を連結させて巨大な魔法を発動させる技術が確立すると、魔法旗の重要性は最大限まで高まり、戦場では欠かせないものへとなっていく。


 しかし数年後、武器やアクセサリーといった小物へ魔法陣を刻めるようになると魔法旗は廃れていった。その頃には、目立ちすぎる魔法旗は遠くからでも魔法の種類が分かるため、敵に戦術がバレて足を引っ張る存在になっていたのだ。


 また、敵国も魔法旗を潰す方法を考えて実行していたため、昔と比べると苦戦するようになっていた。戦火が広がり激化していた当時では、魔法旗に代わる新たな武器が求められていたのである。


 魔法旗は戦場から退いたが、存在が消えることなく細々と語り継がれ、使い手も少数ながら存在していた。



 魔法旗の大きな特徴として、杖に比べて広範囲の魔法攻撃・支援に優れており、旗を変えることで複数の魔法陣を操り、強力な魔法を詠唱なしで発動することが可能であった。


 さらに杖よりもはるかに少ない魔力で魔法を放つことが出来るため、戦場のような長時間の戦闘に向いていた。


 通常、多数の敵を葬るような強力な魔法は複雑な詠唱と膨大な魔力が必要であるため、それらを一気に解決できる魔法旗は当時かなり重宝されていた。


 デメリットとしては、魔法旗の種類が少ないため使える魔法が限られることと、やはり目立つことであった。しかし、透明化の魔法を用いたり、旗の軽量・縮小化により矢のように筒へ入れて多く持ち運べるようになったためデメリットは消えつつある。


 それでもマイナー武器であることに変わりなく、使い手もごく少数である。彼らは人々から「旗手(きしゅ)」と呼ばれた。


 旗の縮小化といっても、それなりに強力な魔法はある程度の大きさが必要になるため手のひらサイズになることはなく一定の大きさを保っている。旗が大きければ大きいほど、強力な魔法を発動できる。


 現在、旗手の中には、魔法旗を操りながら詠唱魔法を使って戦う二重奏者が存在し、戦い方は多彩になりつつある。

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