村の防衛
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
村は山の麓にある。
「一ヶ月の期間で依頼されてますけど、何で一ヶ月なんですか?」
カインは村長に聞いた。
「依頼を出すのが初めてなので…」
「とりあえず一ヶ月、と思って依頼を出したんです」
「じゃあ、期間が変わる可能性もありますか?」
「それが…分からないんです」
「最近になって村を襲う魔物が増えてきて、こんな状況がいつまで続くのか…」
村長は答えに困っている。この先の状況は魔物の増えた理由が分からなければ分かりようがない。
『何で魔物が増えたんだろう?』
『この依頼は長引くかもしれないな…』
カインとアーレンは依頼の期間が伸びる事も覚悟した。
向かう先から物音が聞こえる。向かう先には目的地の村しかなかった。
「グガガガガァー」
「うぉー」
恐らく村人が魔物と戦っている。三人は急いで村に向かった。村が見えてくる。
「我に従う守の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ鎧を与えよ、アーマ」
カインはアーレンに鎧の魔法を発動させた。村に着くとアーレンだけじゃなく目に入った順に次から次へと回復魔法を発動させていく。アーレンは外套を脱いだ。目に入った順に次から次へと魔物を斬り伏せていく。
「おぉ、これが冒険者なんですね」
村長は感心している。そして魔物は全て倒された。最終的な被害者は運良くいない。
カインとアーレンは村長に宿泊場所へ案内された。
『広いなぁ…もしかして大人数を想定してたのかな』
宿泊場所が二人だと広すぎる。カインは宿泊場所の広さに驚いていた。
「村を案内してもらえないでしょうか」
「防衛する為にも村の地理を把握しておきたいんです」
アーレンは村の地理を把握しようとしている。
『そうか!地理の把握…なるほど』
重要な事だがカインには思いつけなかった。カインと村長はアーレンに感心している。
「アーレンさんがいれば安心ですね」
「はい」
村長の言葉を聞いてカインは嬉しい。カインは満面の笑顔になっていた。
カインとアーレンは村長に村を案内してもらう。そして二人は村の地理を把握する事が出来た。
「ありがとうございました」
アーレンは村長に礼を伝える。
「カイン、被害が出ないように作戦を考えよう」
「それなんですけど、僕に考えがあります」
そう言ってカインは魔導書を開く。
「我に従う守の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ防壁を与えよ、バリア」
カインは防御壁の魔法を発動させる。
「ん、何を防御壁で囲んだんだ?」
「村全体です」
アーレンの質問にカインは平然と答えた。
「む、村全体!?そんな広範囲を防御壁で囲む事が出来るのか…」
「囲むものを把握できればですけどね、アーレンさんと村長さんのおかげです」
「…やはり凄まじいな」
呟くアーレンにカインは気付いていない。
カインは村長にも防御壁の事を説明した。
「防御壁なんてもので村全体を囲う事が出来るんですね…」
村長も感心している。それを見てアーレンは嬉しい。
「魔物が出入りできないだけで、村の人は出入り自由です」
「村の中にいれば安全なので落ち着いて魔物に対処できますよね」
カインはアーレンと村長に自分の考えを伝える。その後、三人で村の境へ行って防御壁を確認した。防御壁は近づいて目を凝らせば存在が確認できる。しかし、遠目からでは確認できない。なので景観を壊したりはしない。
防御壁について村人達へは村長が説明した。防御壁の存在も確認する。
「戦えない者は一人で防御壁の外に出ないように!」
「戦える者はアーレンさんカインさんとともに戦おう!」
村人達は村の防衛を人任せにしていない。
その後、魔物が現れる。防御壁があるので魔物は村の中に侵入できなかった。
「カインさんも凄いんですね、失礼しました」
「何の事ですか?」
村長の言う失礼が何の事かカインには分からない。
カインとアーレンの二人とともに村人達も戦った。カインがいるので怪我をしても自動で全回復する。
「二人がいれば百人力だ、でも二人にばかり頼ってはいられない」
「俺達だけでも戦えるようになるぞ!」
村人達は志気を高めた。
魔物を倒していると魔石が貯まる。貯まった魔石はギルドへ運んでおきたい。防御壁があるのでカインとアーレンは村を離れて魔石を運んだ。村に被害は出ない。
一ヶ月が経った。もう村の防衛は村人達だけでも可能である。依頼の期間を伸ばす必要はない。しかし、カインとアーレンは村人達と仲良くなっている。
「このままこの村に定住しませんか?」
「歓迎します、お二人の新居も建てますよ」
村長はカインとアーレンを村へ誘った。
『嬉しい…ありがたい話だ』
カインとアーレンは戦闘狂などではない。なので平和に暮らせるなら暮らしたい。
『でも、この村で私は冒険者の男という事になっている』
「すみません、もう少し世界を見て回りたいんです」
アーレンは村長の申し出を断った。
「カインはどうする?」
「寂しい事を言わないで下さいよ、僕はアーレンさんについていきます」
カインの言葉を聞いてアーレンは微笑む。村長は苦笑いである。
「そうですか…残念です」
「冒険者を引退したり休息が必要になったりした時はまた考えてみて下さい」
依頼主である村長のサインを受け取ってカインとアーレンは町のギルドへ戻った。




