侵入
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
城への侵入は夜である。夜になってカインとアーレンは城に侵入した。
「見張りの兵士があまりいませんね」
「そういう国じゃないからな、でも気を付けよう」
二人は宰相を探して慎重に城の中を歩き回る。歩き回っていると扉の前に見張りの立っている部屋があった。
「見張りがいて探れないな…」
「我に従う風の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ風を与えよ、ウィンド」
見張りの気を引く為にカインは魔法で物音を立てる。
「何事だ!」
部屋の中から声がした。その声は宰相のものである。
「確認してきます!」
見張りが扉の前を離れた隙にカインとアーレンは部屋に近づく。
「あの声は宰相の声でしたね」
「あぁ、この部屋に宰相がいる」
カインとアーレンが部屋に入ると部屋には王と宰相がいた。
「何者だ」
「私達は通りすがりの冒険者、お前こそ何者だ」
アーレンは宰相に言い返す。
「勝手に侵入しておいて何者だとは…、冒険者ではなく頭のおかしい盗賊だな」
確かに客観的に見ればカインとアーレンのほうが不審者である。
「大丈夫ですか!」
見張りが戻ってきた。巻き込みたくない。
「我に従う雷の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ雷の檻を与えよ、サンダ・ケージ」
「王にも貴方にも危害を加えるつもりはないので、どうか動かないで下さい」
カインは魔法で見張りを足止めした。檻は扉を塞ぐようにして他の人間も部屋に入れないようにしている。
「冒険者を名乗る盗賊よ、これは犯罪です、今直ぐにこんな事は止めなさい!」
宰相は叫んだ。
『…確かに犯罪だ、こんな事は止めよう…』
カインが魔法を解除しようと思った瞬間、カインの唇は再びアーレンに奪われる。カインは正気を取り戻した。
「幻惑が通じないだと?」
「…発情した人間に!」
「…下等生物の分際で!」
宰相の姿が変貌していく。宰相は強烈な殺気を発していた。
「我に従う守の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ鎧を与えよ、アーマ」
カインは直ぐに回復魔法と防御魔法を発動させる。アーレンは外套を脱ぎ捨て前に出た。
「身の程を知れ!」
宰相から正体を現した魔人がアーレンに襲いかかる。魔人の攻撃でアーレンは後方に弾き飛ばされた。
「アーレンさん!」
カインは思わず声を上げる。アーレンは弾き飛ばされて後方の壁に埋まったかに見えた。しかし、アーレンの姿がそこにない。
「ギャー」
魔人の断末魔が響き渡る。アーレンが魔人を斬り裂いていた。
「心配は要らない、大丈夫だカイン」
アーレンは平然としている。魔人は苦し紛れにアーレンを攻撃した。しかし、アーレンは身をかわす。もう魔人の攻撃は届かない。
『凄いな…さすがアーレンさん』
『でもアーレンさんばかりに頼ってちゃいけない』
「我に従う雷の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ高位の雷を与えよ、ハイ・サンダ」
カインは魔法で魔人を攻撃する。
「グァー」
魔人の動きが止まった。動きの止まった魔人にアーレンは連続の斬撃を繰り出す。そして魔人は魔石になった。
「私達は発情した人間でも下等生物でもない」
既にいない魔人にアーレンは言い捨てる。
カインとアーレンは王に事の顛末を説明した。王には操られていた間の記憶がない。が正体を現した魔人との戦いを王は目撃している。カインとアーレンは話を信じてもらう事が出来た。
「勝手に侵入したうえに城内を壊してしまい、すみませんでした」
「いやいやありがとう、危うく私は国を壊してしまうところだった」
カインとアーレンは謝罪するが逆に王から礼を言われる。更にもてなしたいと王は二人を引き留めたがカインとアーレンは丁重に断って城を後にした。




