キス
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
周りに人はいない。カインとアーレンは二人になった。
「カイン、あの宰相の考えをどう思う?」
「…素晴らしい考えですね…」
アーレンに聞かれてカインは答える。
「…カイン?」
アーレンはカインの様子がおかしい事に気付いた。
アーレンは目を逸らして恥じらっている。しかし、覚悟を決めた。アーレンはカインの唇を奪う。
『えっ!?』
「カイン、あの宰相の考えをどう思う?」
唇を奪ってから、アーレンはカインへ同じ事を質問した。アーレンは既に平然とした顔をしている。
『今、アーレンさん…キス…えっ?』
「カイン、あの宰相の考えをどう思う?」
アーレンは同じ質問を繰り返した。カインは戸惑っていられない。
深呼吸でカインは気を落ち着ける。
「水路を塞いだら魔物が蔓延ってしまいます」
「その事を宰相は知らないのでしょうか?」
「それに軍事力が劣っているとしても…」
「国を支えている水を国民から奪うなんて間違っていると思います」
カインは自分の意見を述べた。
「やはり幻惑か…」
アーレンは呟く。カインは幻惑で操られていた。カインを正気に戻したのはアーレンからのキスである。
「僕が幻惑…でも記憶があります」
「生贄騒ぎで操られていた村人は操られていた時の記憶がありませんでした」
カインは魔人が黒幕であった生贄騒ぎを思い出していた。その出来事はアーレンもカインから聞いて知っている。
「何か違いがあるんだろうな」
「キス…」
カインは「キス」という言葉を口にして、アーレンと二人で顔を赤くした。
擬態した魔人が王ならば宰相から話をさせる必要がない。擬態した魔人は宰相であると思われる。
「水路を塞ぐ、それ自体が宰相の目的だろうな」
「お金なんて魔人に必要がないですからね、水路を塞いで魔物を増やす…」
「だろうな」
カインとアーレンは宰相の狙いを推測した。この国に魔物を蔓延らせるわけにいかない。その為には宰相をどうにかしないといけない。
「宰相は城の中だ、城に侵入するしかないな」
「そうですね」『仕方がないといっても犯罪だよな…』
カインは怖がっていた。しかし見て見ぬふりをするつもりはない。
「怖いか?」
アーレンはカインに微笑む。
「はい…」
「もし捕まったらアーレンさんは僕に言われて…」
「カイン!」
「それは私にとって侮辱だ」
カインの言葉を制してアーレンの表情は厳しくなる。
「すみません」
「でもありがとう、カイン」
カインは直ぐに謝り、アーレンは再び微笑んだ。




