旅の道中
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
旅の道中で二人は野営をしている。カインもアーレンと同じく冒険者なので野営をする事には慣れていた。しかしアーレンはカインよりも料理上手である。
『料理にもスキルが活かされているのかな、ナイフ捌きに無駄がない』
カインはアーレンの調理技術に感心していた。アーレンは技術だけではない。
「その魚はここに刃を入れると上手く切れるんだ」
「この野菜は火の通りが悪いから下茹でをしておこう」
アーレンは色々と教えてくれる。それがカインは嬉しい。
「アーレンさんと一緒に作るようになって料理が格段に美味しくなりました」
「単純に一緒に作ったり食べたりすると楽しいです」
カインは思った事を何も考えず言葉にした。アーレンは照れている。
カインはアーレンに魔法を便利に使って見せた。
「火起こしは僕に任せて下さい」
「我に従う火の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ火を与えよ、ファイア」
火起こしが必要な時、カインは火魔法を使って見せる。
「喉は乾いていませんか?」
「我に従う水の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ水を与えよ、ウォータ」
飲み水が必要な時、カインは水魔法を使って見せる。
「服を乾かしましょう」
「我に従う風の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ風を与えよ、ウィンド」
服を乾かす時、カインは風魔法を使って見せる。
「防御壁を張っておけば寝ている間も安心です」
「我に従う守の精霊…」
「我が魔力を糧として我へ防壁を与えよ、バリア」
寝る時、カインは防御魔法を使って見せる。
「色々とありがとう、カイン」
アーレンに喜んでもらう事がカインは嬉しかった。
毎朝、アーレンはカインより早く起きて剣の鍛錬をしている。しかしカインは寝ているフリをしているだけで起きていた。アーレンには内緒である。
『やっぱりアーレンさんの太刀筋は見事だ、美しい』
寝ているフリをしながらアーレンの鍛錬を眺める事をカインは楽しみにしていた。
「ふぅ、今朝はこのくらいにしておこう」
「おはようございます、アーレンさん」
「起きたのか、おはようカイン」『今朝もタイミングがいいな』
アーレンの鍛錬が終わるタイミングを見計らってカインは起きだす。これが二人の一日の始まりだった。
ウォータンド国は魔物がほとんど現れない。現れても村ごとに戦える者達が魔物を討伐してしまう。その為、冒険者としては仕事がない。
「少ないどころじゃなかったな…」
アーレンは呟いた。冒険者としての仕事がないのでポーションの納品だけで収入を得る。
「魔法使いは潰しが効くんだな…」
「私は役に立たなくてすまない」
アーレンは感心するとともに恐縮していた。
「役に立たない?」『そうかなぁ…』
カインは気にしていない。カインは呑気である。




