占い
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
家に着くとゼイルが口を開く。
「儂は占いが出来るんだが興味あるかい?」
カインとアーレンは占いをしてもらった事がない。折角なのでゼイルに占ってもらう事にした。先ずはカインである。
「じゃあ、そっち側に座ってくれ」
デーブルを挟んで向かい合うようにゼイルとカインはイスに座った。アーレンはカインの横でイスに座って見守っている。
ゼイルはカインを真剣に見つめた。そして口を開く。
「カインは…魔法使い、いや回復魔法の魔法持ちか」
「知ってはいたが本当に存在していたんだな」
ゼイルはカインのジョブを言い当てながら驚いている。滅多にいない魔法持ちをまぐれで言い当てたとは考え難い。当てられたカインも驚く。
「毒を回復する魔法も使えるはずだ」
「毒ですか?」
カインには思い当たる事がない。
「初めて会った時に回復していただろう?」
アーレンが口を挟んだ。擬態した魔物に噛まれた時の事である。あの時、アーレンが魔物に毒があるとカインに教えていた。
「あっ、あの魔物は毒があるんでしたね」
「あの時は自動で回復していました」
「毒でダメージを受けても自動で回復するから問題なかったんです」
カインは事情を伝える。
「スキルは派生して得る事がある」
「毒のダメージを回復した事で毒自体を回復する魔法を得たんだろう」
ゼイルは二人に教えた。
『僕は毒も回復できるのか…どうやって?』
『治れと思うだけでいいのかな…』
毒が回復できると聞いてもカインには方法が分からない。
ゼイルが険しい顔をしている。
「もしかして…カインは騎士でもあるのか?」
「!?」
「僕は…騎士の家の生まれです」
出身まで占いで分かるとカインは思っていなかった。
『騎士の家に生まれた魔法使い…』
『それがどういう意味かゼイルさんにも分かるよな…』
カインの様子を見てゼイルの様子が変わる。
「カインはジョブとスキルについて、どう認識している?」
「父親からジョブを継承して…ジョブによって使えるスキルが変わる…」
「…と聞きました」
ゼイルに聞かれてカインは知っている事を答えた。
「世間ではそう言われているよな、しかしそれは間違いだ」
「!?」
『えっ?えっ?えっ?』
カインはゼイルの言葉に混乱している。アーレンのほうを見るとアーレンも信じられないという様子だった。
「継承するのは父親からだけじゃない、母親からも継承する」
「そして継承するのはスキルだ」
「継承したスキルの活かし方に付けた名前をジョブと呼ぶ」
「ちょっと待って下さい、それは女もスキルを持っているという事ですか!?」
ゼイルの説明にアーレンは取り乱す。ゼイルは静かに頷いた。カインとアーレンは唖然としている。
「両親ともに持っているスキルは子にも高い確率で継承される」
「片親だけが持っているスキルは子に継承する確率が下がる」
「それと…両親から継承するだけとは限らない」
「儂はジョブにも両親にも関係ない鑑定というスキルを持っている」
「鑑定は…スキル、スキルの熟練度、魔力量、を見る事が出来る」
「占いは鑑定を利用したものだ」
「鑑定の結果、カインには騎士が持つとされているスキルが見えた」
「カインの両親は間違いなく騎士だろう」
カインの両親は騎士、ゼイルの言葉はカインにとって嬉しいものだった。しかしである。
「じゃあ何で、僕は父や弟のようになれなかったんですか?」
「僕は欠かさず鍛錬しました、家庭教師の先生や父の教えも守っていました」
カインはゼイルに訴えた。
「儂も初めての経験なんだが…」
「カインには最初に回復魔法がスキルとして見えた」
「その後に騎士が持つとされているスキルが"薄く"見えたんだ」
「何かの原因で騎士のスキルが封印されたような状態なんだろう」
ゼイルは自身の見解をカインに伝える。
「…鍛錬不足とかですか?」
「いや、鍛錬していなくてもスキルは普通に見える」
「何かの原因としか儂からは言えないな」
原因はゼイルにも分からない。分からなくてもカインの父親は騎士という事は分かった。母親であるリリアナは不貞行為などしていない。カインにはそれで十分である。
「良かったな、カイン」
アーレンはカインに声をかけた。
「はい、ありがとうございます」
カインの目から涙が溢れている。
まだ疑問が残っていた。
「何故、世の中ではジョブを継承するとされているんでしょう?」
「当然の疑問だな」
カインの疑問にゼイルは思案している。
「ジョブとして一括りにしたほうが把握し易い、把握できれば育て易い」
「都合のいいスキルの組み合わせに固執している」
「親がいなくなった時、親の仕事を子に継がせたかった」
「…そんなところだろう」
ゼイルの想像であるが、そうかもしれないとカインとアーレンは思った。
「何故、父親から継承するとされているんでしょう?」
「男の存在意義を高めたかったんじゃないかな」
「女は子を産める時点で生物的に男よりも存在意義がある」
「女にはスキルがない、だから女に危険な事はさせられない」
「…としたかったのかもしれない」
ゼイルは自分の推測を二人に話す。
「どうやって父親と同じスキルにしているんですか?」
「父親とは違う、母親と同じスキルになってしまう可能性もありますよね?」
「父親と同じジョブの母親に子を産ませる、結婚の時に家柄を気にする理由だ」
ゼイルの説明を聞いていてカインとアーレンは何とも言えない気持ちになった。確かに女は同じジョブの家に嫁ぐ事を求められる。
「ちなみに…家柄を気にするのは主に王族貴族だ」
「それとウォータンド国では家柄なんて言っていると笑われる」
「ウォータンド国は平和なんだ」
ゼイルは付け加えた。




