レストラン
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
美味しそうな匂いがする。三人はレストランに着いた。三人は席について注文を済ますと話し始める。
「俺は戦士のリック、こっちはカインだ」
「初めまして、カインです」
「俺は魔法使いのハロルだ」
カインはリックのほうを思わず見た。リックは魔法に詳しくない自分の代わりとして魔法使いのハロルをカインに会わせてくれたのである。
「魔法使いについて聞きたいんだよな？」
「はい」
カインはハロルに返事をした。カインは魔法使いである。魔法使いについて知らなければならない。
「カインは回復魔法が使えて、仕事を探しているらしい」
「俺は戦士で魔法使いにどんな仕事があるか知らない、助けてやってくれ」
リックがカインの状況を説明してくれた。カインはリックの気遣いが嬉しい。
「回復魔法って事はヒールって事か…」
ハロルの口にしたヒールという言葉がカインには分からない。
「すみません、ヒールって何ですか？」
「自分が魔法使いだと知ったのが最近なので魔法も詳しくなくて…」
すかさずカインはハロルに聞いた。用意してもらえた機会である。カインは聞き逃さないようにしなければならない。
「んっ、何ですかって詠唱するだろう？」
「詠唱というのも分かりません…」
ハロルの言う詠唱もカインには分からなかった。カインの様子を見て、ハロルは荷物から何かを取り出そうとしている。
「魔法使いってジョブは魔法適性ってスキルを持っている」
「魔法適性があれば、魔導書を開いて呪文を詠唱する事で魔法が使える」
「これが魔導書だ」
ハロルは荷物から取り出した本をカイン達に見せた。魔導書である。
「これが魔導書…」
「僕は治れと思えば怪我が治せるので知りませんでした」
初めて見る魔導書がカインには興味深い。
「治れと思えばって…」
ハロルは荷物から更にナイフを取り出し、自分の腕を切りつけた。ハロルは大胆である。
「治してみてくれ」
ハロルの傷をカインは治して見せた。
「魔法持ち…」
ハロルは静かに興奮している。
「カインは魔法持ちだ」
「僕は魔法持ち…なんですか？」
カインはハロルに付いていけていない。カインは知らない事ばかりだった。
「魔法使いは魔法を"使う"ジョブ、魔導書があれば魔法を使える」
「魔法持ちは魔法を"持つ"ジョブ、魔法を持つから魔法を使える」
「魔導書がなければ魔法を使えない魔法使いの上位ジョブが魔法持ちだ」
魔法持ちについてハロルはカインに説明する。
「滅多に生まれないらしいし、俺も初めて会ったよ」
「いやぁ～すげぇな、握手してくれよ」
言われるがままカインはハロルと握手した。横で聞いていたリックも驚いている。
注文した料理が運ばれてきた。
「俺の奢りだ、遠慮せず食ってくれ」
「おかわりしてもいいぞ」
リックは二人に料理を食べるよう促す。カインもハロルも遠慮せず腹一杯になるまで料理を食べた。ただ、一番多く食べていたのはリックだったりする。
