水の精霊
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
アーレンは遠くの男女を見ながら微笑んでいる。
「アーレンさん、僕もアーレンさんに贈ろうと思って水涙花を摘んできたんです」
カインは水涙花をアーレンに差し出した。
「水面から咲いていました、涙みたいな形の花ですよね」
アーレンは何も言わない。
「…要らなかったですか?」
「私達は冒険者だ…」
「花を持ち運ぶのは難しい…」
カインに聞かれてアーレンは答えた。確かに冒険者は花を花瓶に挿して飾っておくような余裕がない。
「なるほど、そうですね…」
「あっ!」
カインは何かを思いつき、荷物の中から一冊の魔導書を取り出した。
「魔導書に挟んで押し花にしましょう」
「…でも魔導書は魔法を唱える時に使うだろう?」
「大丈夫です」
「この魔導書は回復魔法の魔導書なんです」
「僕は魔導書がなくても回復魔法が使えますから」
カインは水涙花とともに回復魔法の魔導書をアーレンに差し出す。
「ありがとう」
差し出された水涙花を断れなくなったアーレンはカインから水涙花と回復魔法の魔導書を受け取った。
カインとアーレンのやりとりを店主はニヤニヤしながら黙って見ている。
「そろそろいいですか?」
店主は二人に声をかけた。
「あっはい、お待たせしました」
カインが店主に返事をする。アーレンは頬を赤くしていた。
「頼みを聞いてくれて、ありがとうございます」
「お礼をしなければいけませんよね、水魔法の魔導書を出して頂けますか?」
店主に言われてカインは水魔法の魔導書を取り出す。店主は魔導書の中に消え、魔導書はカインの腕輪と一つになった。腕輪には新たに水色で楕円の玉が付いている。
「今まで通り、呪文の詠唱という形で呼んで頂ければ力添え致します」
店主は水の精霊だった。
「この村での私は道具屋の店主です、正体は内緒ですよ」
消えたと思っていた水の精霊が再び目の前にいる。精霊は動きが読めない。
『もしかして水の精霊は火の精霊の用件を知っているかな…』
「私の頼みを聞いてもらう為ですよ」
「!?」
聞く前に水の精霊は答える。カインとアーレンは火の精霊の用件を果たす事も出来た。




