涙の花が咲く池
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
次の日になり、カインは件の男を尾行する。水涙花が咲いている池への道は思った以上に険しい。冒険者のカインは平気だが不慣れな人間には辛い道である。
『怪我しないのが一番だけど…何があるか分からないし』
万が一の場合を考えてカインは男に自動全回復の魔法を発動させた。
「我に従う風の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ風を与えよ、ウィンド」
男に及ぶ危険は風魔法を使って吹き飛ばす。風を加減すれば不自然にならない。
男は池の前に到着する。池の水面からは花が咲いていた。水面に映った花が流れる涙のように見える。この花が水涙花だった。
「へぇ、水面から咲くのか」
カインは呟く。男は水涙花を一輪摘むと村への帰路に就いた。
「折角だから僕もアーレンさんに贈ろう」
男に見つからないよう気を付けながらカインも水涙花を一輪摘む。しかし、やる事はこれで終わりでない。カインは男が村へ帰る間も尾行して見守った。
男は無事に村へ戻る。カインも村へ戻ってアーレンと店主に合流した。
「カイン、大丈夫だったか?」
「はい、無事に水涙花を摘んで、僕の事もバレていないはずです」
カインはアーレンに尾行の成功を伝える。
「さすがカインだ」
アーレンはカインに聞こえないような小声で呟いた。
男は一人の女を呼び出す。カイン達三人は男女を遠くから見守った。男は水涙花を女に差し出して何かを言っている。
「何て言っているですかね?」
「そ、そうだな…」『この距離だとカインには聞こえないのか』
カインはアーレンに話しかけた。カインには遠くて聞こえない。女は男から水涙花を受け取り喜んでいた。




