発覚
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとアベルは鍛錬を続けている。続けているが、カインはなかなか強くならない。一方でアベルは日増しに強くなった。カインとアベルの差が開いていく。
「僕よりアベルのほうが強いな」
「だけど…父さんのほうが強いよ?」
カインは気にしているがアベルは特に気にしていない。
『気にし過ぎなのかな…』
カインは思った。
アベルは父であるガルドと剣を交えている。カインには真似が出来ないレベルだった。そんな中、アベルが怪我をする。
「グワァ!」
「大丈夫か、アベル!」
ガルドとカインが叫ぶ。
「痛いよ、兄さん」
アベルはカインのほうを見た。治して欲しいからである。カインも直ぐにアベルのもとへ駆け寄り、アベルの怪我を治した。
「何をしているんだカイン…」
ガルドは茫然としている。
「えっ、あっ、いや…」
「兄さんはね、治れと思うだけで怪我が治せるんだよ」
ガルドの様子を見て、カインが返答に詰まり、アベルが代わりに答えた。
「魔法という事か…」
「…しかし騎士が魔法…」
「…そういう事なのか…」
ガルドは俯き呟きながら何か考え込んでいる。考え込むガルドの表情は悲しげだった。
「ごめんなさい、父さん」
カインは悪い事をしたわけではない。しかし、居たたまれなさを感じてカインはガルドに謝ってしまった。
「いや、カインは悪くない」
ガルドは顔を上げ、慌ててカインの非を否定する。
「カインは悪くないんだ…」
呟くようにガルドは繰り返す。
「今日はここまでにしよう」
ガルドに言われ、その日の鍛錬は終了となった。
「カイン、これからも怪我をした人がいたら治してあげるんだぞ」
一見、ガルドは平静を取り戻したように見える。しかし実際のところどうなのか、カインには分からなかった。




