家庭教師の気持ち
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインは治れと思えば怪我が治る。怪我というわけでない痛みも消えろと思えば消えてしまう。鍛錬時間が長くなって、いちいち治れ消えろと思っているのが面倒になった。
「鍛錬で怪我するのは当たり前だよな」
カインは独り言を呟き、『その都度、怪我や痛みは消えてしまえ』と鍛錬前に思っておく事にする。
『これで面倒臭くないぞ』
カインの顔には笑みが浮かんでいた。その様子を家庭教師は横で見ている。
『この子は何を考えて…』
家庭教師は恐怖を感じていた。
家庭教師にはカインが騎士の子だと思えない。正直、スキルがあるとは思えなかった。
「次は実戦形式です」
「はい、先生」
どれだけ強く家庭教師が打ちのめそうともカインに怯まない。その様子を見ると、やはり騎士の子とも感じる。
家庭教師はカインを上達させられない。申し訳ないと感じていた。
「エイ…、ヤー…」
「エイ…、ヤー…」
…
カインの鍛錬は続く。鍛錬が続くと家庭教師に申し訳なさが積み重なる。家庭教師は申し訳なさに耐えられなくなっていった。
「ウワァァ!」
家庭教師の攻撃にカインの声が上がる。家庭教師は加減を忘れていたのだった。家庭教師にあるまじき事である。
「大丈夫ですか、カイン様!」
「大丈夫です、先生」
普通の子なら大怪我していてもおかしくない。しかしカインは平気な顔をしている。
『我慢しているだけかもしれない』
念の為に家庭教師はカインが怪我していないか確認した。が本当に怪我していない。
「本当に大丈夫なんですね…」
「はい、本当に大丈夫です」
『騎士の子だからだろうか…』
『いや、騎士であっても怪我はする』
家庭教師にはカインが理解できなかった。




