生贄
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
男に連れられてカインは村に着いた。何故か村には活気が感じられない。
「月に一度、今月は今日、この村では火の精霊に生贄を捧げるのです」
「生贄を?火の精霊はそんな事をさせているのですか?」
一瞬、カインの言葉で男は悲しそうな顔をする。
「こんな事は止めさせたいのです」
「もちろんです、止めさせましょう」
気付くと男の姿が消えていた。
『あれ、どこに行ったんだろう?』
カインは男の行方も気になったが、それより生贄を止めさせなければいけない。
火の精霊は火魔法の呪文の中に出てくる。魔法使いであるカインには火の精霊が生贄を要求するような存在には思えない。とりあえずカインは村人に話を聞く事にする。
『そういえば誰も外を歩いていない…』
村人が誰も建物の外を出歩いていない事にカインは気付く。そして静まり返っている。
「すみません、どなたかいらっしゃいませんか」
カインは一番近くにあった家の扉を叩きながら呼びかけた。扉が開き、家人が姿を現す。
「…何でしょうか…」
家人の様子がおかしい。
「火の精霊についてお聞きしてもいいですか?」
「…火の精霊様はこの村の守り神です…」
「火の精霊様はどこにいるのですか?」
「…火の精霊様は森の奥にある祠にいらっしゃいます…」
そう言いながら家人は村の奥のほうをチラリと見る。確かに森があった。
「火の精霊様はどんな守り神なんですか?」
「…火の精霊様は村の不幸を焼き消して下さいます…」
「火の精霊様は不幸を焼き消すだけですか?」
「…焼き消す代わりに火の精霊様は生贄を要求されます…」
「…月に一度の生贄だけで村の不幸を焼き消して下さるのです…」
「生贄の要求は不幸じゃないのですか?」
カインの言葉で家人の表情は強張る。家人は家の扉を閉めてしまった。
「余計な事を言ってしまったかな…」
「…失敗した」『でも火の精霊がいる場所は分かった』
カインは祠へ向かう。




