失敗
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインには思惑がある。このままアーレンと別れるわけにはいかない。
「あの…アーレンさん」
「なんだ?」
「他の魔法も見てみませんか?」
「そうだな、機会があったら見せてくれ」
カインは本当の思惑を誤魔化している。当然、アーレンには伝わらない。誤魔化しているので伝わらない。
「その…僕と組みませんか?」
「えっ?」
カインはアーレンを仲間に誘った。もっとアーレンの太刀筋を見たい、もっとアーレンと仲良くなりたい、とカインは思っている。ただ、カインの言葉はアーレンを驚かせた。
「…」
「君は十分に強いだろう?私と組むメリットがない」
アーレンは困っている。確かに冒険者としてはカインにメリットがない。しかし、カインの求める事は違う。
『あれ?リックさんみたいに上手く誘えない…』
「アーレンさんがいてくれる事がメリットです!」
カインは慌ててメリットの説明を試みる。
「もちろん、アーレンさんの事は僕が全力で守ります」
更に慌ててカインは付け加えた。アーレンは驚き、俯き、困っている。
しばらくの時間が経った。
「すまないが断る」
そしてアーレンは立ち去る。
『強引だったのかな…』
『馴れ馴れしかったのかな…』
『嫌われたのかな…』
「…失敗してしまった」
カインはアーレンと仲間になれなかった。
それからしばらくの間、カインは町に滞在して毎日ギルドへ顔を出す。しかしアーレンに会えていない。苦い思い出を残してカインは町を後にした。




