新たな出会い
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインはハロル夫妻に挨拶して町を出た。とりあえず城下町を目指し、とりあえず近くの町へ、カインは向かう。
「キャー」
女の悲鳴が聞こえる。カインは直ぐに悲鳴がしたほうへ向かった。そこに若い女が倒れている。
「大丈夫ですか、直ぐに治します」
「ガブッ」
突然、倒れていた女が噛みついた。女の姿は見る見るうちに魔物の姿となる。激しい痛みを感じてカインは反射的に回復魔法を発動させた。しかし回復と痛みが繰り返す。
『あれ、何で痛みが繰り返すんだろう?』
初めての経験にカインは驚く、が回復するので問題はない。
「何をやっているんだ」
声とともに現れた人物が魔物を一太刀のもとに斬り裂く。魔物は魔石となった。
その人物の太刀筋には一切の無駄がない。無駄がなく洗練された太刀筋は見事である。見事な太刀筋にカインは見惚れた。
その人物は慌てて荷物の中から小瓶を取り出す。
「こいつは毒を持っている、急がないと…」
その人物は言いながらカインを見て驚く。カインが平然としているからである。
「噛まれたんじゃないのか?」
「噛まれました」
「じゃあ、何で…」
その人物は驚いているが、カインは驚かれ慣れていた。
「回復魔法が使えるんです」
「回復魔法…魔法は詳しくないが便利なんだな」
その人物は感心している。
「僕はカインといいます」
「助けてくれて、ありがとうございました」
名を名乗ってからカインは礼を言った。
「私はアーレンだ」
アーレンは凛々しくも優しい顔つきをしている。しっかりとした鎧を身に着けているので体つきは分からない。
「美しい…」
「なっ」
アーレンは手で覆いながら顔を逸らす。カインのいう美しいは顔貌の事でない、太刀筋の事である。カインの言葉は一言足りない。
「あっ、今の"美しい"は太刀筋の事です」
カインは言葉を補った。
「アーレンさんの太刀筋を美しいと思いました」
「知り合いの太刀筋とは何か違うんですよね…」
「いや、知り合いの太刀筋も凄かったんですけどね」
アーレンはカインに褒められて心做しか嬉しそうである。話しながらカインは別の違いにも気が付いた。
「その剣、僕の知っている剣よりも細いです」
「あぁ、私には剛力がないからな…」
アーレンのいう剛力とはスキルの事である。
「一般に普及している剣は幅が広く頑丈で硬い物でも砕くように斬る事が出来る」
「しかし剛力のない私には重くて扱えないんだ」
アーレンの説明で剣にも種類がある事をカインは知った。
『細い剣なら僕にも扱えるのかな…』
『…そんな簡単な事じゃないか』
生まれた僅かな希望をカインは自分で打ち消す。
「アーレンさんも冒険者ですか?」
「あぁ、冒険者だ」
「"も"という事は君もか?」
「はい」
町を出て早速、カインは新しい冒険者に出会う事が出来た。
「アーレンさんのジョブは何ですか?」
「…私のジョブは剣士だ」
アーレンの返事にカインは躊躇を感じる。
『答えたくなかったのかな…』
『僕も生まれの事を言いたくないし…』
カインは話を変える事にした。
「僕は近くの町に行こうと思ってるんです」
「そうか、私もだ」
二人の目的地は同じである。アーレンは魔石を回収し、カインとアーレンは一緒に近くの町へ向かった。




