道具屋
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインとハロルは町を歩いていた。
「カイン、ポーションの納品について以前話したよな」
「はい」
「ポーションは回復魔法を付与して作るんだ」
ハロルは足を止める。カインとハロルは道具屋の前に立っていた。
「入るぞ」
カインとハロルは道具屋に入る。
道具屋には色々な物が置かれていた。普段の生活の中で見かける道具だけでなく、普段の生活の中で見かけない道具も置かれている。
「いらっしゃい」
女がカインとハロルを出迎えた。道具屋の店主である。
「ハロルくん、久しぶり」
「お久しぶりです、商品を見せてもらいますね」
「どうぞ見てって」
ハロルは道具屋の店主とも知り合いだった。
「これがヒール・ポーション、ヒールを付与して作ったポーションだ」
「こっちはハイ・ヒール・ポーション、ハイ・ヒールを付与してる」
「回復魔法を付与したポーションは即効性があるから人気で高価なんだ」
ポーションについてハロルはカインに説明する。
「この色とりどりの石みたいなのは何ですか?」
カインはハロルに質問した。
「火魔法を付与した火の石、水魔法を付与した水の石、とかだな」
「投げつけたりして衝撃を与えると付与した魔法が発動する」
ハロルの説明で魔法を付与した物が色々あると分かる。
「魔法を付与した道具は魔法道具と呼ばれている」
「魔法道具があれば魔法使いでなくても魔法が使えるんだ」
「開業資金を貯めて、道具屋を始める魔法使いもいるんだぜ」
「全部とはいかないが自分で商品を用意できるからな」
ハロルはカインに将来の選択肢を示した。
カインに一つの疑問が浮かぶ。
「魔導書は魔法道具なんですか?」
カインの質問にハロルは表情を変えた。
「察しがいいな、魔導書も魔法道具の一種だ」
「通常の魔法道具は使い切り、魔法自体を道具にした魔法道具だ」
「魔導書は永続的に使える、魔法を使えるようにする魔法道具だ」
「魔法道具なしで魔法が使えるのは…実のところ魔法持ちだけって事になるな」
ハロルの説明で魔法道具にも二種類ある事が分かる。
「魔法使いなら魔法の付与は慣れれば直ぐ出来るようになる」
「でも魔導書を作るのは結構な経験が必要なんだ」
「魔法を付与するのは魔法付与、魔導書を作るのは詠唱付与、ってスキルだ」
ハロルは色々な事をカインに教えた。魔法使いとして生きるのに必要な事である。
ハロルは魔導書を取り出した。
「ヒール・ポーションの瓶をお願いします」
「はいよ、いつもありがとうね」
ハロルに言われて店主はポーションの瓶を用意する。瓶の中には何か透明な液体が入っていた。
「我に従う癒の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ治癒を与えよ、ヒール」
ハロルの回復魔法で瓶の液体に色が付く。それがヒールの付与された証拠だった。
「これでヒール・ポーションの出来上がりだ」
「瓶の中に最初から入っていた液体は何ですか?」
「ただの水だ、魔力に余裕があるなら水も魔法で用意すればいい」
カインの質問に答えてからハロルはヒール・ポーションを店主に渡して報酬を受け取る。ポーションの納品をカインに実践して見せたのだった。