戦士との別れ
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
三人は順調に依頼を果たしていった。
「だいぶ金が貯まってきたな…」
「そうですね」
リックの呟きにカインは答える。これほど冒険者が稼げるとカインは思っていなかった。
『リックさんとハロルさんのおかげだな』
いくらチートでも回復魔法だけでは魔物と戦えない。カインは二人に感謝している。
「二人ともちょっといいか?」
リックはカインとハロルに話しかけた。リックは真剣な表情をしている。
「悪いが仲間を抜ける、用事が出来た」
リックとの別れは寂しい。しかし人それぞれ事情がある。仕方がない。
カインの様子を見て、ハロルが口を開く。
「寂しがっても仕方がない、金も貯まったから魔導書屋に行こう」
「はい」
カインとハロルはリックと別れ、約束していた魔導書屋に行く事にした。
「リックのやつ、カインがいなくて大丈夫なのかな」
ハロルはリックを心配している。寂しいならカインにも分かるが、心配が分からない。
「何でですか?」
「リックは強い、間違いなく」
「…だけど危なっかしいんだよな」
「狂戦士化のデメリットをカインの回復魔法が補ってたんだ」
ハロルに言われてカインも急にリックが心配になってきた。しかし、もう遅い。冒険者はいつ命を失うか分からない危険な仕事である。