見送り
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
次の日の朝、カインとアーレンは武器屋の前でランガと合流した。オリビアも見送りに来ている。オリビアの横には人の良さそうな男がいた。
「二人に紹介するよ、私の夫でカリルだ」
「初めまして、カリルです」
カリルはカインとアーレンに名乗る。
「初めまして、カインです」
「初めまして、アーレンです」
カインとアーレンもカリルに名乗った。オリビアは自慢気である。
「お前も…な」
オリビアはアーレンの耳元で囁いてからカインのほうを見た。アーレンは困っている。
『何を話しているんだろう?』
カインにはオリビアがアーレンに何を話したか聞こえない。
ランガはアーレンとオリビアのやり取りを見ている。
「行くぞ」
「はい」
ランガに促され、カインとアーレンはマジカリウム鉱石を採りに向かった。
「姉さんが余計な事を言っていたら…すまない」
「姉さんに悪気はないはずだ、そういう人ではない」
「分かっています、大丈夫です」
ランガが声をかけてアーレンが答える。ランガはオリビアの言動を気にしていた。
『何の話だったんだろうな…でも聞いちゃいけない気がするし』
カインはついていけてないが、聞くのを我慢している。本当は聞きたい。
ランガがマジカリウム鉱石を採りに来ているという事は武器屋が休みという事である。ランガは昨日も店を閉めていた。二日連続で店を閉めている。
「ランガさん、時間を取らせてしまってすみません」
「構わない、採りに行くと言ったのは俺だ」
ランガは事もなげに答えた。
『昨日、いきなり斬りかかってきた時は驚いたが…』
『私の為に店を閉めてくれたんだよな』
『オリビアさんとの事も気にしてくれたし、ランガさんはいい人だ』
『オリビアさんも…いい人だ』
アーレンは鍛冶師の姉弟に心を許している。