武器屋
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
カインは町に立ち寄った目的を果たした。しかし、せっかくなのでアーレンの新しい剣を探したい。カインとアーレンは武器屋にやって来た。
「いらっしゃい」
武器屋の店主が出迎える。
「あんたは剣士だな、どんな剣が欲しいんだ?」
店主はアーレンのジョブを言い当てた。カインの時と違う。
「斬れ味の良い剣が欲しいです」
「斬れ味か…」
アーレンの要求を聞いて店主は店に置いてあった一振りの剣を手に取った。
「その剣よりも斬れ味の良い剣はありませんか?」
アーレンの言葉で店主は動きを止める。店主は持っていた剣を置くと一旦店を出て、再び戻ってきた。
「店を閉めた、隠す必要はない、外套を取れ」
店主がアーレンをまっすぐ見ながら言う。外套は女の体型を隠す意味がある。アーレンが躊躇していると、店主は置いていた剣を再び手に取り、アーレンへ斬りかかった。
「何をするんですか!」
カインが叫ぶ。店主の行動は急だったが、アーレンは店主の斬撃を避けている。
「剣の腕を見たいだけだ、殺気は感じないだろ?」
確かに店主から殺気は感じない。アーレンは自身の剣を構えた。と思った時にはアーレンの斬撃が店主に届いている。アーレンは斬撃を寸でのところで止めた。
「なるほどな、外套も脱がず、なかなかの腕だ、剣も手入れがされている、…」
「斬れない魔物なんているのか?」
店主は構えを解く。そしてアーレンに聞いた。
「います」
「そうか」
店主に話が伝わり、アーレンも剣を鞘に納める。
店主は持っていた剣を置いてあった場所に戻す。そしてアーレンのほうへ向き直した。
「俺はランガだ」
「私はアーレンです」
ランガとアーレンは名乗りあう。
「僕はカインです」
「カインは…魔法使い…だったか?」
「はい」
ランガはカインの事を覚えていた。しかし、疎覚えのようである。
「斬れ味が良いだけじゃなく、軽くて丈夫な剣が欲しいんだろ?」
「…はい」
ランガはアーレンの望みを言い当てた。
「店には置いてないが、俺は鍛冶師もやっている」
そう言ってからランガは何かを考えている。
「マジカリウムという金属を知っているか?」
「マジカリウムですか…」
ランガに聞かれた金属をアーレンは聞いた事がない。この世界で武器や防具に使われるのはノーマリウムという金属である。
「知らなくても無理はない、特殊な加工が必要だから今は使われなくなった」
「しかし広く使われているノーマリウムよりも軽くて頑丈な武器や防具が作れる」
「そして俺はマジカリウムの加工が出来る、俺の自慢だ」
ランガはマジカリウムについて説明した。つまりマジカリウムならアーレンが望む通りの剣が作れる。
「ぜひ作って下さい」
カインが思わず口を出した。
「待ってくれ、それは私が言わなければいけない事だ」
「ランガさん、私に剣を作って下さい、お願いします」
カインを制した後、アーレンは改めてランガに剣の作製を依頼する。
「分かった、ただ今は手元にマジカリウムの鉱石がない」
「マジカリウム鉱石を採りに行くぞ」
ランガと一緒にカインとアーレンはマジカリウム鉱石を採りに行く事になった。
ランガは何かを思案している。
「採りに行くのは明日だ、二人で防具屋に行ってこい」
ランガはカインとアーレンに指示を出した。
『武器だけじゃなく防具の事も気にしてくれたのかな…』
『でもアーレンさんには魔法の鎧がある』
「ランガさん、僕達に防具は不要なんです」
防具屋に行く必要はない、とカインは思っている。
「いいから行くんだ、行けば分かる」
ランガに言われてカインとアーレンは防具屋に行く事にした。