魔物の討伐
この物語はフィクションです、実在の人物や団体とは関係ありません
「」で囲まれた箇所は口に出した言葉、
『』で囲まれた箇所は心に思った言葉、になります
…魔物の気配がする。
「ググッ、ググッ、ググッ、…」
昨日と同じ魔物が現れた。しかし、一匹ではなく群れである。三人は集中した。リックは剣を構え、ハロルは魔導書を開き、カインは三人に回復魔法を発動させる。
「さすがに群れは…」
「いや、いける!」
リックは言葉通り群れの中に飛び込んで魔物を自身に引き付けた。魔物の攻撃でリックが怪我をしても直ぐに治る。そしてリックは怯まない。怯まない姿はまさに狂戦士だった。
「リックのやつ、本当に怯んでねぇな」
「我に従う火の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ火を与えよ、ファイア」
ハロルは火魔法で魔物を攻撃する。ハロルの魔法で魔物の攻撃は勢いが殺がれた。魔物の意識がハロルへ向けば、生まれた隙をリックが攻める。リックとハロルが初対面だったとは思えない。見事な連携である。
「これが冒険者…」
カインは呟いた。回復魔法しか使えないカインは出来る事がない。カインは二人の姿を目に焼き付ける。
三人は魔物の群れを討伐した。群れだった割には苦労もしていない。リックとハロルは手際よく魔石を回収している。魔石の回収はカインにも出来た。
「やはり倒せたな」
「いやいやいや、あんな強い魔物の群れなんて危なすぎるだろ」
楽観的なリックにハロルは言い返す。
「僕は足手まといだったんじゃ…」
「それはない!」
カインが呟くとリックとハロルが息を合わせて反論した。見事な連携である。
戦いの後片付けが終わった。
「本当に自動で回復してたな」
「そうだろ~」
感心するハロルに対して、何故かリックが自慢気にしている。
「我に従う火の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ火を与えよ、ファイア」
ハロルがリックに火を与えた。
「アチィ!何するんだ、戦闘中でなければ普通に熱いんだぞ」
「悪い、威力はコントロールした」
「我に従う癒の精霊…」
「我が魔力を糧として彼へ治癒を与えよ、ヒール」
ハロルはリックに謝り、魔導書を取り出して回復魔法で火傷を治す。
「自動で回復するのは戦闘中だけって事だな」
「俺で実験するなよ、…するなら言ってくれ」
カインの回復魔法が自動で全回復するのは戦闘中だけという事が分かった。