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加筆修正しながら投稿しているので、細切れですみません。
「まあまあ聞いてよ。当時ね、拡張が成功して新駅は完成したんだけど、実はどうしてもだめな場所があったんだって」
「だめな場所?」
「そこを工事しようとすると怪我人や死人が出るような、どんなにお祓いしても鎮められないような場所――
で、結局そこに祠を祀って触れないよう決めたらしいの。
ほらよくあるじゃん? 高層ビルに囲まれた場違いな神社とか、道路の真ん中に生えたままのおっきな木とか――」
「うん、あるね――ってほんと花織よく知ってるね。いつからそんなオカルト好きになったの?」
やれやれと苦笑しながら美香子は先に歩き始めた。
「だから受け売りだって。ちょっ、待ってよ」
隣に並んで花織が話し続ける。
「でね、それはそれで長い年月大丈夫だったらしいんだけど、今から二十二、三年くらい前にいろいろ老朽化してきたってんで、駅ビルや駅前周辺含めて、再びリニューアルしたんだって。
で、その時に、コンクリ仕様の狭くて暗くてじめっとしていたこの地下通路をこーんなに広げて、明るい照明つけて、壁を色とりどりのきれいなタイル張りにしたんだって。あ、LEDは最近の付け替えだと思うけど」
「でもどうなったのかしら?」
「何が?」
「さっきの話よ。祠を祀ったっていう。拡張するのに邪魔じゃなかったの? もし退かせたんなら、その祠どこへやったの?」
「んー、駅裏の路地に移されたとか言ってたかな?」
「ふうん。そんなとこで祀っても意味ないのにね。
だから呪われた駅なんて噂立つんだよ。元の場所になぜ祀られてたのか、なぁんて考えないのかな。
あ、でもでも、本当に呪われてんなら、その時に何か起きたんじゃないの?」
「そうっ、そこがこの話のメイン。
祠を退けたために工事に支障が出た。だから成功させるために、それなりのことしたんじゃないかってそいつが言うの」