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「これに関係ないのかもしれないんだけど――いや、まったく無関係でもないか――」
「なに? 早く言って」
花織が先を促す。
「駅裏の路地にある祠のこと知ってる?」
「うん、知ってるよ。もともと駅にあったけど、リニューアルで邪魔になって退かせたってやつでしょ」
花織がそう言いながらこっちを見たので、美香子も米澤にうなずいた。
「その祠に願掛けすると絶対叶うって噂は?」
「え、知らない――野地そんなこと言ってなかったもん」
「その願掛けなんだけど、良い願い事――受験合格させてください――みたいなじゃなくて、悪い願い事――銀行強盗や殺人を成功させてください――みたいなものに効くらしいんだ」
「なにそれ、こわっ」
「やっぱ呪い系の祠だから?」
美香子の問いに米澤が「たぶん――」と、曖昧にうなずいた。
「野地は知らなかったのかな? なにも言わなかったし――それが?」
独り言をつぶやいた後、訊き返す花織に、
「その願掛けを桧垣がやったんじゃないかって思ったんだ。僕たちを異界に飛ばすために。それで、こういうことになった。これで桧垣と駅の呪いの関係性が成立するだろ?」
成績優秀の米澤らしくない、非現実的な考察に美香子は驚いた。悪意の願掛けなどというこれも非現実的な噂を信じていることにも驚きだ。
ぽかんと口を開けたままの美香子の隣で花織が身を乗り出して突っ込む。
「いやいや、だ、か、ら、それを桧垣がやったとして、なんでうちらなん? なんで異界なん? ってとこが知りたいんですけど?」
「そ、それはわからない」
米澤がたじたじする。
「そこが肝心じゃんっ!」
花織は彼が負傷者だということを忘れているのだろう、ばんっと背中を叩いている。
「まあまあ、祠の情報がわかっただけでもありがたいよ」
美香子は花織を諫めた。
「でもぉ、あれ効果ないよぉ。わたしやったけどぉ、なぁんもならなかったもん」
新井がそう言いながら花織や宮木を意味ありげにちらっと見た。




