07 お礼
ひと通り習熟訓練も済ませまして、僕と『パイスラ』の予想以上の相性の良さに大満足。
もちろん、モノカさんのように強くなれたわけじゃないけど、僕なりの荒事への対応力は上がると思う。
これなら、みんなに迷惑かけない程度の強さを目指せるかも。
というわけでアリシエラさんに、僕専用の装備を発注しました。
モノカさん専用の『パイスラ』を、僕のヘボちん身体能力に合わせてカスタマイズした短槍。
そして、それをサポートするための魔導バックパック。
投げ槍としての『パイスラ』は、投擲時の短距離『転送』に魔素が必要なのです。
もちろん『パイスラ』自体にも、内蔵魔素貯蔵庫はありますが、
本来は、持ち主のモノカさん専用魔導バックパック『マゾブタ』から、『転送』に必要な魔素を追加補充する仕組み。
えーと、『マゾブタ』とは『魔素増槽ブースタータンク』の略称、だそうです。
で、僕専用の短槍にも、僕専用の魔素補充用バックパックが必要になるわけで。
みんながそれぞれ専用装備として所有している魔導バックパック『イッテラ』と同機能のバックパックを、僕も作ってもらえることになりました。
実はシュレディーケさんの分のバックパックもいっしょに発注しましたので、
むふふ、楽しみ、ってなっちゃったわけで。
そういえば、シュレディーケさんは専用武器を注文しなかったのですね。
「私は、今の装備に愛着があるので、バックパックのみだ」
「元々、皆からの緊急応援要請に対応出来るよう、『転送』バックパックの方はお願いするつもりであったので、これからは遅れを取らずに済む」
「しかし、アリシエラさんへのお礼の方、本当にどうしたらよいのだろうか……」
確かに、今回もたくさん魔導具をおねだりしちゃいましたし、お礼、どうしましょう。
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モノカさんに『パイスラ』をお返しする際、
アリシエラさんへのお礼について相談してみましたが、
どうやらモノカさんたちもお困りのご様子。
『私は、魔導具製作に自信と信念を持って日々挑戦しておりますっ』
『つまり、そんな魔導具のお代には、その人にしか成し得ない行動こそが相応しいのですっ』
『というわけで、お代の方は私からのお願いごとというカタチにてお返ししていただきますっ』
そんな、アリシエラさんのポリシーのため、
みんなも相当にお礼の分が"ツケ"として溜まっているのだとか。
うん、しょうがないよね。
その時が来たら、存分に"お礼"しちゃおうってことで。
忘れずに覚えていてくださいね、アリシエラさん。




