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05 紅白


 てな感じで、モノカさんのお宅から退散しようとしたところ、


 家長のモノカさんご本人と、ばったりご対面。



 モノカさんは、ご存知、特使勇者。



 召喚者としてこちらの世界にお呼ばれされてから、


 その類稀なる強さと正義感で、


 あれよあれよという間に、最強冒険者の名を欲しいままに。



 その功績を世界中に認められ、


 特使勇者と任命されてからは、


 以前にも増しての大活躍の大暴れ。


 今では推しも押されぬ、世界が注目する英雄乙女。



 そして何より、三度のおやつよりも鍛錬大好きという、


 武闘派乙女の筆頭にして頂点。



 僕なんかがお手軽に強くなりたいなんて腑抜けたこと言った途端に、


 愛槍『ゼファー』でコテンパンにされちゃうこと間違いなしっ。




「そんなに暴れん坊じゃないですよ、私」


 すみません、確かに普段のお姿はどう見ても、可愛らしい可憐な乙女にしか見えませんものね。



「……」



 あー、やっちゃったよ。


 モノカさんが、照れ照れの真っ赤っかに。


 うん、お噂通りの可愛らしさ、こりゃたまらんっ。


 って、ごめんなさい、カミスさん……



 ---



 とてもうれしいことに、モノカさんが相談に乗ってくれました。


 それはアドバイスと言うよりは、


 行動派なモノカさんらしさに溢れた、


 より具体的で実践的な問題解決法。




 広いお庭でモノカさんから、投げ槍のレクチャーを受けております。


 この紅白の、ちょっとめでたい見た目の短槍、


 名称は『パーマネント イモータル スローイング ランス』


 略称、『パイスラ』



 そういえば、初めて緊急応援要請しちゃった時に、


 襲ってきたタリシュネイアの騎士さまをモノカさんが一瞬でスタンさせた投げ槍がこれでしたね。


 いかに旅姿の軽装鎧とはいえ、革の胸当ての上から一撃でスタンさせちゃうほどのヤバい威力、


 さすがはアリシエラさん謹製のスーパー魔導具。



「今実演した通り、赤い方は本気でブッ刺したい時の"スタブモード"」

「白い方は麻痺にて無力化する"スタンモード"となっております」

「一度投げちゃうと、任意でロックした標的に問答無用の『転送』でブッ飛んで行きますので、くれぐれもお間違え無きように」


 うへぇ、相変わらずとんでもないモンをこしらえちゃいますね、アリシエラさん。


 でもよろしいのですか、大切な相棒をお借りしちゃっても。



「フォリスさんの荒事遭遇頻度を考慮すれば、早急な対策は必須」

「しばらく使ってみて相性を確認したら、フォリスさん専用の短槍をアリシエラさんにお願いしましょう」


 ありがとうございます、モノカさん。


 強くて優しいなんて、そりゃあカミスさんも惚れちゃいますよね。



「……」



 うん、実は今のはわざとです。


 照れモノカさん、やっぱりめっちゃ可愛いらしいんですもん。



 えーと、カミスさん、ごめんなさい。


 ちょっとだけ、ごちそうさまでした……



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