17 日常
我が家、ついに精霊界と繋がっちゃいました。
例の、迷宮管理室の隣の、小さなお部屋です。
基本的には、あのおみやげ宝箱を使っての、精霊界側からの一方通行。
つまり、精霊さんたちがあちらにお帰りの際は、自力で『転移』する必要があるのです。
ちなみにあそこは『ゲートルーム』的な役割のお部屋だそうで。
いえ、あのお部屋自体に『転送』機能があるのでは無く、『転送』の際の衝突事故を防止するための発着場的な空き部屋とのこと。
そして、『Gふなずし』にミルルシュモさんの連絡先が登録された際に、僕たちふたりも『転送』の行き先として、あの部屋を選べるようになりまして。
僕とシュレディーケさんの魔導バックパック『プログレス』なら、あのお部屋への直通『転送』も可能になってしまったということなのです。
いえ、行きませんってば、精霊界なんて。
だって、リスト爺ちゃんたち精霊さんの溜まり場、じゃなくて本拠地なのですよ。
うかつに近寄ることなかれ、です。
えーと、やむを得ない事情でお呼ばれされない限りは、ね。
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というわけで、ミルルシュモさんが我が家に遊びに来るようになりました。
お忙しい方なので、ごくたまに、なのですが。
もちろん、我が家にいらっしゃる前には、ちゃんと事前にご連絡くださいねと、
しっかりとお願いしております。
ミルルシュモさんご自身は、あの通りのおしとやか系おっとりさんですので、
我が家が必要以上に騒がしくなったりはしないのです。
妹さんとは、まだお会いできておりません。
ミルルシュモさんから、お仕事熱心ながんばりやさんと聞いておりますので、
お仕事中の迷宮管理室におじゃましてはいかんのです。
シュレディーケさんたちが、fpsうんぬんを気にしていましたし。
僕としては、fpsがどうこうっていう話しは、本当にどうでもいいです。
どうせなるようにしかならんし。
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僕は、相変わらず狩人です。
いつもの狩り場で、いつも通りに。
『アリスト』とかの新装備が増えたからといって、
冒険者稼業に鞍替えしたりはしません。
アレは、降り掛かってきた突発的な厄介ごとに対処するための自衛装備ですので、
僕の方からわざわざ危険に飛び込むなんていう、おマヌケなマネは致しませんとも。
ってか、あれだけキャラ濃いめな精霊さんたちのお相手するのにいっぱいいっぱいで、
冒険するヒマなんて無いっての。
「いや、精霊たちのお相手をする日常、それ自体が大冒険なのではないかと……」
ちょっと、シュレディーケさんっ、
せっかく頭の隅っこに埋めといて目を逸らしてる真実を、
掘り起こしちゃダメッ。
あとがき
どんなイベントに放り込まれても、
ぬるりと終わらせてしまうフォリスさん。
いつだって波瀾万丈感薄々な呑気話しになっちゃうのは、
ひとえにフォリスさんの努力の賜物。
つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。