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13 秘事


 いつの間にか用意されていたテーブルと椅子とティーセット。


 ミルルシュモさんが煎れてくれた美味しいお茶と、


 妹さんの手作りという美味しいお菓子で、


 のんびりとお茶会。



「ごめんねぇ、宝箱の設定、間違えちゃったみたいで」


 いえ、大丈夫です。


 爆弾とか、壁の中へ『転送』とか、


 そんなんじゃなくて実害無しでしたから。



「理解ある素敵な旦那さんで、羨ましいわねぇ」


 いえいえ、どちらかというと、羨ましがられるべきは、うちの奥さんが素敵であることですから。



「理想のご夫婦なのねぇ」


 えーと、シュレディーケさんのほっぺが大変なことになっておりますので、その辺でご容赦を。



 ---



 とてもゆったりとした、楽しいお茶会です。


 ゆったりし過ぎていて、お話しがなかなか進まないのですが……



 どうやら、ダンジョン管理人のミルルシュモさんが、


 ちょっとだけ宝箱の設定をミスっちゃって、


 僕らがあそこに『転送』されちゃった、と。



 へえ、ダンジョンの宝箱って、ランダムじゃなくてちゃんと管理されていたんですね。



「内緒にしてもらえると、嬉しいなぁ」


 もちろんです。


 今回の出来事は、誰にも内緒にしておきますね。


 ダンジョンの宝箱って、何が入っているのか分からないことが楽しみのひとつなのでしょうし。



「いえ、それも内緒にして欲しいのですけれど」

「私がミスしちゃったことを、リスト様には……」


 あー、もしかして、ミルルシュモさんは精霊さん?



「バレちゃったわねぇ」


 ……ですね。




 えーと、ダンジョンの奥みたいな魔素が非常に濃いところでは、


 罠とかの『転送』に、誤作動や不具合が生じやすいそうで、


 昔は『転送』事故で、精霊界とか行ってはいけない場所に飛ばされちゃう冒険者が多かったのだとか。



 で、不慮の事故を減らすために管理人を置くことになり、


 各種族の迷宮関連担当者による話し合いの結果、長命種である精霊さんが管理を任されることに。


 まあそれでも、たまにはミスしちゃうことだってある、と。




「ダンジョンの宝箱って、冒険者さんたちが一番楽しみにしていることなの」

「人為的にアレコレ操作してるってバレちゃうと、いろいろと面倒ごとになっちゃうのよねぇ」


 確かに、よからぬ事を考えた連中のせいで、管理人であるミルルシュモさんに危害が及ぶかも。



「だから、内緒、ねっ」


 えーと、内緒は結構なのですが、


 さっきからみんなにジロジロ見られちゃってるのですが。



 ダンジョンの入り口のすぐ脇でお茶会すれば、ねぇ……



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