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アシュトレト編2

セリオンたちテンペルのメンバーは、突如空から現れた敵について、作戦会議を行っていた。

メンバーはスルト、アンシャル、セリオンの三人である。

「謎の敵についてだ。早期の迎撃が有効だったため、それほど大きな被害にならずに済んだ」

スルトが言った。会議の場所はスルトの執務室である。

「だが、油断はできない。いつまたあのデュラハンどもが来るか分からない。今回はうまく迎え討てたが、次もそううまくいくとは限らないからな」

アンシャルが指摘した。

「あいつらは何者なんだろう? いったいどこから来てどこへ去っていったのか? そして、何が目的で、市民たちを虐殺したのか?」

セリオンが答える。

「奴らは末端の兵士にすぎん。幽騎士デュラハン―― 闇の魔力で動く鎧兵士だ」

「俺は敵の指揮官と戦った。そいつは言った。『アシュトレト』と――」

「!? アシュトレト!?」

アンシャルが反応する。

「知っているのか、アンシャル?」

セリオンが追及する。

「ああ。『悪魔の女王』の名だ。強大な闇の魔力を持ち、多くの配下を従えているという悪魔だ」

「なるほどな。『悪魔の女王・アシュトレト』か。そういう存在なら邪悪なことを考えてもおかしくないか」

スルトは両腕を組んだ。

「あいつらはどこから来たんだ?」

セリオンの疑問。

「空だ」

「空?」

「そうだ。空に城の影のようなものが見えた。きっとそこから来たに違いない。敵の本拠地だ」

「だが、どうやってそこまでいく?」

「飛空艇だ。飛空艇シーベリオンを使う」



スルト、アンシャル、セリオンの三人は聖堂の外に出た。スルトは空の一点を見つめる。

アンシャルとセリオンも空を眺める。

「いでよ、フィボルグ!」

スルトが武器を、豪剣フィボルグを召喚する。

スルトは豪剣を高くかかげた。雷霆(らいてい)の力を剣に収束する。剣から雷光が発せられる。

「はあああああああああ!」

雷の放電が起こった。スルトは空に向けて雷霆の刃を放った。斬撃は空中に浮かぶ影に命中した。しかし、バリアで防がれた。防がれたものの、空に浮かぶ城は実体を現した。

天空城が傲然とその姿を現した。

「見えるようになったぞ。さあ、今度はこちらから攻め込む番だ」




天空城の玉座の間にて、女主人アシュトレトは忌々しげに、吐き捨てる。

「ええい。ふがいない奴らめ! 圧倒されて逃げ帰るとは何事か! それどころか、あのダナンまでも敗れるとは!」

アシュトレトは手にしていたワイングラスを床に投げ捨てた。パリーンと音が鳴り、ワイングラスが粉々になる。中身の液体と容器の破片が混じり合う。

「この天空城の居場所まで、知られてしまうとはな。光の勢力は侮りがたい」

アシュトレトは玉座に深く腰掛け、目を閉じる。

「奴らがここまで来ることは可能か? よもやこの城にまでやってこれるとは思えんが……」

女主人アシュトレトは左手を払い、水晶球に映っていた映像を消した。



庭に一条の線が走った。床が左右に開かれていく。すると中から一隻の船が現れた。

船は銀色のフォルムをしていた。

「これが飛空艇シーベリオンだ」

スルトが言った。

セリオンは目を見上げた。まさか、こんなものが隠されていたとは…… 改めて感嘆の念を抱く。

「ただちに出撃する。私、アンシャル、セリオン、アリオンの四人で出る。目標は天空城。悪魔の女王アシュトレトの居城だ」

セリオンはアリオンを連れてきた。

「全員そろったな。よし。飛空艇シーベリオン、出撃する!」

四人を乗せたシーベリオンは浮遊すると、天空城にまっすぐに向かった。

「すごいな。テンペルってこんなものまで持っているんだ」

アリオンがつぶやいた。場所はシーベリオン内部の操舵室。舵はスルトが取っている。

飛空艇は順調に飛行した。まもなく天空城に着く。スルトは飛空艇を天空城の防壁近くにつけた。

「これから、どうするんだ?」

セリオンがスルトに尋ねた。

「デッキに出て障壁を破壊する。全員外に出ろ」



スルト、アンシャル、セリオン、アリオンの四人はデッキに出た。

スルトはフィボルグを取り出すと、雷霆の力を収束させた。豪剣を高くかかげると、おもむろに剣で障壁に打ち付けた。パキーンと音を立てて、障壁が四散した。

「よし、これで敵の城の内部に侵入できるようになった。これより侵入する!」

セリオンたちは一斉に躍り出て、天空城に入っていった。



天空城が姿を現しただけでなく、障壁まで破られた事態は女主人アシュトレトを極めて不快にさせた。

「まさか、あんなものを持っていたとは…… ええい、忌々しい! 天空城がその姿を露呈しているだけでも腹立たしいのに、あまつさえ、障壁を破壊するとは! ネズミどもめ、内部に侵入しおったな!」

アシュトレトは勢いよく玉座から立ち上がった。モニターの水晶球には天空城に横づけされたシーベリオンが映っている。天空城は上に登るようにそびえたっていた。アシュトレトは水晶球をにらみつけた。

再び、玉座に座る。

「まあ、よい。侵入されたとはいえ、城内には強力な魔物を配置してある。そう簡単には進めぬはずだ」




四人は城内を駆けた。通路を一直線に走り抜けていく。四人は途中で大広間に行きついた。

そこにはゼリー状の巨人がいた。その巨人は上半身が下半身の何倍も大きかった。目は一つだけで、それも大きかった。

名をヨドム Jodom という。アリオンが一同の前に進み出た。刀を抜きヨドムに向ける。

「こいつの相手は俺がします。三人は先に行ってください」

「しかし、ここは全員で……」

セリオンがそう口にした。

「一対多数より、一対一が有効な時もある。ここはアリオンに任せて、我々は先に向かうとしよう」

スルトがそう告げた。

「……分かった」

セリオンが納得した。三人はヨドムを刺激しないように大きく背後に回り込み、奥の階段を登った。

次の階へと進む。次の階は直線的な空間だった。そこを三人は走った。その中心部に毛むくじゃらの巨人が立っていた。

名はオーガグ Oogag という。

「またボスか……」

セリオンが言った。

「ここは私が引き受けよう。スルトとセリオンは先に行ってくれ」

アンシャルがオーガグの前に立ちふさがった。

「うむ、ここは任せたぞ。セリオン、先にいくぞ」

「あ、ああ……」

「安心しろ。こんな奴に負けはしない!」

「セリオン、アンシャルが作ってくれたチャンスを無駄にするな。ここはアンシャルに任せよう」

「分かった」

スルトとセリオンはオーガグと距離を取りつつ背後に回った。

「アンシャル、気を付けてな」

「任せておけ!」

二人は直線の廊下を駆け抜けた。再び階段が見えてきた。その階段を二人は駆けあがる。上の階には扉があった。二人はその扉を開けて、先に進む。

そこには四角形の体に一つ目、虫のような二本の脚がついた怪物がいた。

この怪物の名はズルヴァーン Zurwaan 。

ズルヴァーンは城の中庭にいた。

「セリオン、先に行け。こいつは私一人で十分だ」

「スルト!?」

「おまえは先に行ってアシュトレトのもとへと向かえ。アシュトレトのこと、頼んだぞ!」

スルトが豪剣を構えた。

「分かった。俺は先に行く。そしてアシュトレトの野望を粉々に打ち砕く!」

セリオンはズルヴァーンの横を疾走した。そして登り階段を登って行った。長い階段を登っていくと大きな門があった。セリオンは門を開けて、中に入った。中には広場があった。

ふと、大きな影が、セリオンに覆いかぶさった。セリオンはバックステップでその場から離れた。

今までセリオンがいたところに大きな衝撃が起こった。そこには巨大な深紅のサソリがいた。尾を立てて、戦闘態勢に入っている。

名はスコルピオン Skorpion 。

スコルピオンは背後の扉をふさぐように陣取っていた。この先に進みたくば、スコルピオンを倒すしかない。セリオンは覚悟を決めた。

「どうやら、こいつを倒さない限り、先に進むことはできないらしいな。いいだろう。俺が相手だ」




テンペルの付属礼拝堂でエスカローネは祈っていた。

「神よ、セリオンをお守りください」

内部には静寂な空気が流れていた。エスカローネはひざを床につけ、両手を合わせて祈っていた。

「神の祝福がセリオンにありますように」

内部にはエスカローネしかいなかった。物音ひとつしない。エスカローネは目を閉じ無心に祈る。

そして、セリオンの姿を思い浮かべる。エスカローネはできることなら、セリオンの隣で戦いたかった。

しかし、今の自分にはそれができない。だから、祈るしかないのであった。

「エスカローネちゃん」

エスカローネの背後から声がかかった。

「ディオドラさん」

「祈っていたのね。……セリオンのため?」

「はい、そうです」

「そう、セリオンは幸せ者ね。うふふ」

「あの……ディオドラさん」

「なあに?]

「ディオドラさんは不安になりませんか、セリオンが戦いに赴くことに」

「そうね、心配にはなるわね。でもね」

「でも?」

「セリオンにとって戦うことは存在意義みたいなものなのよ。セリオンは戦う――それは運命なのね。だから、人はそれを受け入れねばならないのよ」

「運命……」

エスカローネは内心かなわないなとおもった。さすがにディオドラはセリオンの母を二十年務めあげただけのことはある。そこまでセリオンを理解しているなんて。

「だから、安心して。セリオンはきっと勝つわ。時には負けることもあるかもしれない。でも、最後にはかならず勝つわ。だって、今までずっとそうだったもの。私はセリオンを信じている。エスカローネちゃんも信じなさい。きっと、セリオンはあなたのもとに帰ってくるわ」

ディオドラはほほ笑みながらそう、話した。




「フッ、ネズミどもめ、ひとりずつ分かれおったか。愚かな。我が配下にバラバラになって挑むとはな。

一同で挑めば勝機もあろうものを」

女主人アシュトレトは、四分割された水晶球のモニター画面を見た。手には新しいワイングラスを手にしている。床にワインをぶちまけた跡は部下に掃除させた。

アシュトレトには笑いが漏れる。侵入者たちが惨殺される光景を今か今かと待ち望む。アシュトレトは残酷な笑みを浮かべた。




セリオンは、巨大なサソリ「スコルピオン」と対峙した。片刃の大剣・神剣サンダルフォンを向ける。

セリオンには称号がある。

「青き狼」「英雄」「雷の息子」

このすべてが、戦いによって勝ち取った名誉でもある。

スコルピオンは戦闘態勢をとっているものの、自ら動く気配はない。受け身の姿勢だった。

セリオンはスコルピオンに斬り込んだ。スコルピオンは両のハサミでガードした。硬い装甲にはばまれ、ダメージは与えられなかった。

セリオンはスコルピオンの尾による攻撃を警戒していた。かすっただけで猛毒に侵されるであろう。すぐに後ろに下がって、スコルピオンと距離を取る。スコルピオンが前進してきた。両手のハサミで連続攻撃してきた。セリオンは器用にかわす。スコルピオンは長い尾で攻撃を仕掛けてきた。セリオンはさっと横によけた。スコルピオンは回転攻撃をした。遠心力を加えた一撃である。尾による打撃がセリオンに迫る。だが、セリオンはこの攻撃をタイミングをはかってジャンプでよけた。スコルピオンは後退した。

セリオンとスコルピオンのあいだに間合いが広がる。

セリオンは接近し、大剣をスコルピオンの頭に叩きつけた。しかし、この攻撃も効果がなかった。

セリオンはすぐさま後方に跳びのいた。セリオンのいたところに、スコルピオンの尾が襲いかかった。

スコルピオンはカウンター狙いの構えを取った。スコルピオンは息を吸い込むと、炎の息を放射した。

炎がセリオンを飲み込む。回避不可能な攻撃だった。

セリオンは氷の剣「氷結剣ひょうけつけん」で炎の息を斬り裂いた。炎の息が両断される。セリオンは氷の剣でスコルピオンに打ちかかった。氷の剣の打撃がスコルピオンを攻撃した。

だが、それもスコルピオンの硬い装甲には通じなかった。スコルピオンの装甲は硬い。

セリオンは氷の剣を持ったまま、わざとスコルピオンを攻撃した。セリオンはスコルピオンのカウンターを狙った。スコルピオンの尾がセリオンに振り下ろされた。

セリオンは氷の剣でスコルピオンの尾の先端を斬り落とした。

「ギイイイイイイイイイ!?」

スコルピオンが悲鳴を上げた。尾の先が地面に転がる。切断されたところから紫色の血が流れる。

「今だ!」

セリオンは大剣に雷の力を収束すると、雷鳴の力を放った。雷鳴剣の雷電がスコルピオンの装甲に打ち付ける。雷電はスコルピオンの装甲を貫いた。スコルピオンはこの打撃で、腹を見せた。

「とどめだ!」

すぐさま、セリオンはこの隙を狙って攻撃した。セリオンは氷の剣でスコルピオンを刺し貫いた。

スコルピオンが絶叫を上げた。そのままスコルピオンは絶命した。スコルピオンは紫の霧と化して消滅した。




一階ではアリオンがヨドムと対決していた。ヨドムは高みから、一つ目でアリオンをじろりと見た。

「なんだ? 薄気味悪い奴だな」

アリオンは刀を抜いた。ヨドムの目が不気味に光った。アリオンはとっさにその場から離れた。アリオンがもといた位置で爆発が起こった。再びヨドムの目が怪しく光った。

「今度は何だ?」

ヨドムは目から怪光線を発射した。怪光線が床を薙ぎ払う。とっさにアリオンは後方に跳びのいた。

薙ぎ払われた床からエネルギーが噴出した。

「おっと、そんなの当たるか!」

アリオンは大きくジャンプして、ヨドムに斬りつけた。ヨドムの体に傷ができる。しかし、ヨドムの傷は何事もなかったかのように再生した。

「再生したのか!?」

アリオンは驚いた。

「くっ、なら、これならどうだ!」

アリオンは高く跳び、ヨドムの右腕を斬り裂いた。ヨドムの右腕がゴロンと転がった。怪しい音を立てて消滅していく。

ヨドムは右腕を切断されてなお、平然としていた。ふと、切断された面からゼリー状の液体が流れ出た。

ヨドムの右腕が再生した。

「あのダメージでも、再生できるのか……」

ヨドムは右腕で殴りつけてきた。

「おっと!」

さらにヨドムは左腕で殴りつける。アリオンはさらりとかわした。ヨドムは両の手で床を打ち付けた。

「うわっ!?」

アリオンは打撃の衝撃を受け、壁に吹き飛ばされた。アリオンは壁にぶつかった。

「くうううううう……」

アリオンは床に倒れ込む。アリオンは右手で刀の柄をつかんだ。一気に起き上がり刀を構える。

「こうなったら、弱点を突くしかないな」

アリオンはヨドムの目を見つめた。ヨドムもアリオンを見つめる。

しかし、ヨドムの目は怪光線の発射部位でもある。そう簡単に狙える場所ではない。

狙って攻撃しても撃墜される危険性がある。

アリオンが攻めあぐねているあいだにヨドムは間合いをつめてきた。さらに円形の炎を噴出させ、周囲を囲い込んだ。円形の炎はヨドムとアリオンを取り巻いた。これで退路は断たれた。

「くっ!」

ヨドムが目を怪しく光らせた。アリオンは素早く右側によけた。アリオンがもといた位置で爆発が起こった。ヨドムの目はなおも怪しい光を発した。連続で爆発が起こる。それらをアリオンはうまく回避した。

ヨドムの攻撃が止まった。アリオンの反撃が始まる。

「これからが本番だ!」

アリオンは炎をヨドムの足元から噴出させた。炎をくらい、ヨドムがたじろぐ。

「くらえ! 紅蓮煉獄斬!」

大きな炎がヨドムの上半身を焼き尽くす。ヨドムのゼリー状の体から、水分が蒸発する。

ヨドムはアリオンの炎によって、大やけどを負った。ヨドムの目が閉じられた。

「チャンスだ!」

アリオンは大きく跳んだ。そして、ヨドムの目にめがけて、刀を突き刺した。

ヨドムが悲鳴を上げる。

「炎よ、焼き尽くせ!」

アリオンは、刀から炎を全力で送り込んだ。炎はヨドムの頭をぶち抜き、爆破・炎上した。

さらに、ヨドムの体全身が炎で覆われた。アリオンの勝利であった。ヨドムは倒れた。どす黒い霧と化し、消滅した。アリオンの刀がその場に残った。アリオンは自身の刀を回収した。

「ほらな。俺一人で十分だったろ?」

アリオンは一人つぶやいた。




直線通路の中心に二者はいた。アンシャルと巨人オーガグである。

巨人オーガグは武器を持っていない。

そのかわり筋骨隆々とした肉体を持っていた。全身から毛が生えている。

その凶暴さが皮膚感覚で伝わってくる。アンシャルは長剣を握りしめた。

アンシャルはこの巨人が愚劣ではないと、洞察した。少なくともばかではない。

こちらが剣を持っていることを計算しているようだった。下手に手出しをしてこない。外見とは裏腹に、洗練された美技を持っている。オーガグが前に進み出た。アンシャルを殴りつける。

しかし、パンチはむなしく空を切った。

「さて、おまえの実力、見せてもらおうか」

怪訝な様子のオーガグは再びアンシャルを攻撃した。右手で殴りつける。が、オーガグのパンチはまたしても空を切った。

オーガグの「力」はすさまじいだろう。まともにくらったら内臓どころか骨までダメージが及ぶだろう。

それを警戒して、アンシャルはオーガグの攻撃を回避に徹した。オーガグは怒り始めた。

「ゴルアアアアアアア!」

オーガグはジャンプして殴りつけてきた。だが、またしてもオーガグの攻撃は空を切る。

風振剣ふうしんけん

強力な風の一閃が起こった。

「グガアアアアアアアア!?」

オーガグの右腕が切断され、床に落ちた。オーガグは怒り狂った。隙のある攻撃を連発する。

残った左腕で殴りつける。

「くらえ」

再びアンシャルは風振剣を放った。ズバシュッとオーガグの左腕が切断された。

オーガグは戦闘の意思を失った。反転し、逃走に移る。

「おっと、逃がすか」

アンシャルは自身の体に風の魔法をかけると、逃げるオーガグの手前に大ジャンプした。

「これで終わりだ!」

アンシャルが剣を振るい、風振剣を放った。オーガグの頭が床に転がった。




一方、スルトはズルヴァーンの前に立っていた。ズルヴァーンは目から怪光線を発射した。

「むう!」

スルトは雷霆の力を収束させ、それを防いだ。しかし、数歩スルトは後ずさった。

ズルヴァーンは魔力を集めて、いくつもの円盤を作り出した。いくつもの円盤がスルトを襲う。

「むん!」

スルトはそれらの円盤を豪剣で叩き落とした。ズルヴァーンが無数の槍を作り出した。それらの槍がスルトに向かって放たれた。

「いい攻撃だ。しかし甘い!」

スルトは雷霆の力を放出した。雷電が無数の槍を打ち砕く。槍はすべてスルトによって迎撃された。

「もう、終わりか? なら今度はこちらから行くぞ!」

スルトは雷霆の力を収束させた。スルトは駆け出し、一刀をズルヴァーンに打ち付けた。

ズルヴァーンはバリアを展開した。スルトの攻撃とバリアが爆発を起こす。爆風が起こり、周囲を曇らせる。ズルヴァーンは無傷だった。ズルヴァーンのバリアはスルトの攻撃を防ぎきった。

「むう…… 私の攻撃を防ぎきったか」

スルトは後方に下がり、ズルヴァーンと距離を取る。スルトは雷霆の力を集め、強力な斬撃を放った。斬撃がズルヴァーンに迫る。斬撃は放電しつつ、ズルヴァーンに命中した。しかし、バリアで防がれた。

「この魔物は知性を持っているというわけか。それにしても、この私の攻撃を防げるバリアとはな……」

こういう敵は少ない。

スルトの雷霆は圧倒的かつ、絶対的だ。それは敵対者を一方的に制圧してしまう。それほどの強さを誇る。だが、スルトには奥の手が残されていた。ズルヴァーンの隙をつける一撃が。

ズルヴァーンは怪光線を放射した。スルトは雷電を収束し、怪光線に向かって突進した。スルトは剣で怪光線を押しのけた。スルトはズルヴァーンのそばまで近寄り、ズルヴァーンの目に豪剣を突きつけた。

豪剣フィボルグがズルヴァーンの目を貫いた。とたんにズルヴァーンが悲鳴を上げる。

スルトはズルヴァーンの目から豪剣を抜き取った。ズルヴァーンは中庭の地面に転がり、黒い霧と化して消滅した。 

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