「ドングリとお地蔵さん」
お地蔵さんの頭にドングリこつんと落ちてきた。
フフフと微笑むお地蔵さん、目の前に落ちたドングリに聞いてみた。
「君は何のドングリなんだい?」
喋るお地蔵さんに驚いたドングリだけど、大きな声でお地蔵さんに言ってみた。
「僕が何のドングリかなんてどうでもいいじゃないか」
まさかドングリの声が返ってくるとは、お地蔵さんも驚いた。
だけどこういう事には慣れている。
「だってドングリにも色々種類があるからさ、君は何のドングリなんだい?」
それでもドングリ呆れ顔。
「僕から芽が出て木になれば分かるよ」
お地蔵さんは動けないけどずっといる。
「それまでは秘密なのかい?」
雨が降ってきて、ドングリ土に埋まっていく。
「ここで育つから待っててよ」
そう言ったドングリの姿が土に消えて、お地蔵さんの楽しみがまた一つ増えた。
おしまい。