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第九話 ロリと食料


 エレナを探すため、まずは、腹ごしらえをするとした俺たち。

 しかし、角兎の討伐は失敗しているのでお金はない。

 つまるところ自給自足にて食事を用意しなければならないという現状。

 そして、俺たちは、腹ペコの体に鞭打って俺、カミィの二人とルミリア一人の二手に分かれ食料調達を開始した。


◽︎◽︎◽︎


 「これなんか食べれそうだな。桃みたいだし」


 俺とカミィは、ルミリアと別れた後。

 早速、食べれそうなきのみが実っている木を見つけた。

 そのきのみは、色も見た目も桃そのもの。

 だが、俺が知っている桃とは、少し違った。

 それは、大きさである。

 大きさを例えるなら五百円玉くらいの大きさだろうか。

 そのくらいの大きさのきのみがたくさん実っていた。

 俺は、その木によじ登り、きのみをもぎ取ってズボンのポケットの中に入るだけ詰め込み。

 カミィは、ルミリアが用意してくれた花柄の手提げ袋の中にすでに落ちているきのみをちょこちょこと広い集めていた。

 そんなカミィを木の上から眺めていると俺は、あることに気が付いた。

 それは、カミィの足元。

 なんと、靴を履いていなかったのだ。


 「カミィ。お前、靴履いてないじゃないか」


 カミィと一緒にこの世界に来てからずっと裸足となると足の裏が傷ついているのではないかと心配した俺は、急いで木から降りてカミィを座らせ足の裏を確認する。


 「……くすぐったい」


 と言いつつも素直に見せてくれるカミィの足の裏は、なんと、擦り傷も切り傷もない。

 俺は何度も触ったり押したりして異常がないか探すが、なんとも健康的で魅力的な足なこと以外に何も見つけられなかった。

 傷一つ、ましてや汚れも付いていなかったのだ。


 「なんで? これもいずれ神様になる奴の神様補正ってやつか?」


 そう俺は、疑問を一人で呟く。


 「………ほせー?」


 カミィは、俺が言った言葉を不思議そうに舌足らずな口調で首を傾げ俺の顔をじっと見つめおうむ返ししてくる。

 俺は、そんなカミィを視野に入れながら思う。


 「補正といえば、俺には、無いのか? 俺知識だと、こういう場合って転生の際に何か特別な力を授かったりするものなのだが……」


 とは言っても、俺は転生した際に授かったものは、ある。

 それは、カミィである。

 謎の声によってカミィは、いずれ神さまになるので立派に育ててくださいと言われたのだ。

 そして、しいて身体に異常が見られるとすればエレナを撫でたあの時である。

 頭を撫でた時、銀色の光が俺の手から放出され互いに眠ってしまった現象。

 もしかするとあれが俺の授けられた力のヒントになる出来事だったのかもしれないと俺は、思い返しながら考えるが、今は、この異世界で生きるのに精一杯でそんなことに構っている余裕は、ない。

 とりあえず今は、食事の調達とエレナの捜索を優先する。

 

 「よし。大分集まったな。あとは、ルミリアに期待しよう」


 俺達は、集まった食料達を広げ十分に集まったことを確認する。


 「カミィもたくさん集めたよ?」


 「おう。頑張ったな。偉いぞ」


 自分も頑張って集めたと疑問形でアピールするカミィの頭を俺は、撫でた。

 目を瞑り撫でられているのを心地好さそうに微笑むカミィ。


 「ルミリア。だいじょーぶかな?」


 「さぁ? どうせ、なんで私が! 自給自足なんてしなきゃならないの? 頭にくる! あぁぁ! って言いながら探してるんじゃないか」


 ルミリアを心配するカミィに俺は、全く似てない声真似で答えたのだった。


◽︎◽︎◽︎


 一方、ルミリアは。


 「お腹が空いてイライラしているって言うのに、なんで私が自給自足をしなきゃならないの? 頭にくるわ! あぁぁ!」


 と一人ではらわたを煮えくり返しながら食料を探していた。

 ハヤテ達と別れたあと、森の中を散策していると、少し開けた空間に流れる川を見つけた。

 その川には、魚が泳いでおり早速ルミリアは、川へと入り生け捕りにしようとするが、

なかなかうまくいかない。

 それが、ルミリアが腹を立てている理由。

 空腹と相まって倍以上に腹を立てるルミリアは、イライラしながら魚めがけて腕を伸ばす。

 しかし、魚は華麗に泳ぎ去ってしまう。

 魔法を使えば簡単なのだが今は、空腹状態により魔力が枯渇している。

 今もし、モンスターに出会えば魔法なしで戦うことになるだろう。


 「あぁ! もう! やめだわ。飽きちゃったし。あいつらが頑張るでしょ」


 何度やっても捕まえられない魚についに我慢の限界を迎えるルミリア。

 食料調達を諦めハヤテ達に期待を寄せ、川を後にし集合場所に戻ることにした。


◽︎◽︎◽︎


 「………マジかよ」


 ルミリアと合流した俺は、二手に分かれて集められたはずの食料の量を見て落胆する。

 ……ない。

 ルミリアが調達してくるはずだった食料がない。

 あるのは俺とカミィが集めた大量の桃のようなきのみだけ。


 「これは、一体どう言うことだ……?」


 俺は、沢山のきのみだけを眺め、この現状に困惑していた。


 「いいじゃない。ピィチの実。甘くて美味しいわよ?」


 俺たちが獲ってきたのはピィチの実と言うらしい。

 だが、今はそんなことどうでもいい。

 なぜか、なにも獲ってきていないルミリアが澄ました顔なのが許せない。


 「お前、食料は?」


 「食料? ここにあるじゃない。さぁ食べましょう」


 何事もなかったかのような素振りで俺とカミィが集めた食料を食べようと促すルミリア。

 

 「お前、もしかして。何事もなかったことにしようとしてるな? そうだろ? 自分だけ何も収穫がなかったことが恥ずかしいんだろ? なぁなぁ? ん? 言ってみ?」


 俺は、そんなルミリアを煽る。


 「…………。あぁ!! うるさいわね! だって仕方ないじゃない! 私、自給自足とかしたことないんだから! いつもは、妹が………。と、とにかくこんなことしてる場合じゃないでしょ? 早く食べてエレナを探さなきゃいけないんだから! ゴタゴタ言わずにさっさと食べなさい!」


 キレたと同時に自分の過失を認めた。

 そして、本来の目的のエレナ捜索を引き合いに出し、自分を正当化した。

 だが、ルミリアの言葉には一理ある。

 仕方なく今回は、ルミリアの罪を渋々見逃す事にする。


 「ったく仕方ねぇな……。でも、俺達が獲ってきたのに、食べろってなぁ? おかしいような……。なぁ? カミィ?」


 「……でもカミィ。沢山集めたからルミリアにあげる」


 俺は、カミィに問いかけると、カミィは、自分の両手のひらで集めたきのみを拾い上げ、それをルミリアに差し出す。

 そのカミィの優しくも健気で可愛い姿を見て俺は、なんてできた子なんだと感心し、ルミリアは、胸を打たれたようだ。


 「やぁ〜! カミィちゃん可愛い〜! こんな男の隣にいるなんて勿体無いわ〜! カミィちゃん私のものにならない?」


 「………カミィ。パパと一緒にいる…」

 

 と興奮気味にカミィを口説くが断られる。

 だが、その姿も可愛いとルミリアは、落ち込む事なく頭を撫でたり抱き寄せたりしている。

 俺は、そんな二人をピィチの実を食べながらぼーっと眺めていた。


 「これ美味いな……」


 俺は、まだ知らなかった。

この先待ち受ける異世界の牙を………。

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