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第四話 俺とパーティ

第四話


 「う……ん………? ここは……?」


 意識が朦朧(もうろう)とする。

 重い目を開けた先は、木の板が繋がってできた天井。

 全身が痛む。

 なぜこんなところで眠っていたのか、思い出そうとしてもはっきりと思い出せない。

 俺が記憶を辿ろうとしていると声が聞こえた。


 「パパ……起きた………?」


 俺が声のした方向を見ると、ベッドの隣にいた幼い銀髪金眼の少女が首を傾げて俺の様子を伺っていた。


 「パ…パ……? 俺…が……?」


 さっぱりわからない。俺は引きこもりをしていたはず。

 子供を授かった覚えは全くない。


 「あら。起きたのね。気分はどう?」


 俺のことをパパと呼ぶ少女に疑問を覚えていると、赤い髪の毛の俺と同じくらいの歳の女の子が言った。


 「……お前…誰だ? ってかここはどこだ?」


 「あらー。爆発の影響かしら。記憶が飛んでるみたいね」


 女の子は、そう言うとテーブルにつき本を読み始めた。


 「爆発……? ………っ!」


 爆発とはなんなのか。

 俺はその言葉を呟くと頭が締め付けられるような頭痛に襲われた。


 「パパ…大丈夫?」


 俺が頭を抑えていると、俺の顔を覗き込み首を傾げて銀髪の幼い少女が心配そうに聞いてくる。

 しばらくすると頭痛は収まった。

 そして俺は、この状況を整理するために、本を読み始めた赤い髪の女の子に問いかけた。


 「俺の身に一体何があったんだ?」


 俺の言葉を聞くと、赤い髪の女の子は、少し悩みながら本を閉じこちらを向いて言った。


 「んー。そうねー。貴方はちょっと訳あって気絶してしまったのよ」


 「訳あって気絶? なんかはっきりしないな……」


 俺は、記憶を辿り自身が気絶した訳を探るのだがまたしても頭痛に襲われてしまう。


 「どう? 何か思い出せそう?」


 「だめだ…。あとちょっとの所まで来てる気がするんだが……」


 「そう。焦らずゆっくり思い出していけばいいでしょ。まぁ…そんなにいい記憶ではないけどね…」


 「そささ


 「ルミリア・ナイト・ミリオンよ。ルミリアって呼んで頂戴」


 「………ルミリア・ナイト・ミリオン……。っ……!」


 その名前を聞いた瞬間。

 今までとは比にならない激痛に襲われる。


 「パパ。頭痛いの……?」


 激痛に襲われ頭を抑える俺の姿を見て銀髪の幼い少女は、その小さい体で俺の体に力を込めて抱きついた。

 少女のその行為によってなのか、俺の頭痛は徐々に収まり、それと同時に怒りの感情が湧き上がってきた。


 「思い出したぞ! おい! ぺったんこ女! さっきはよくもやってくれたな!」


 「あら。思い出すのが随分早かったわね。変態男」


 俺は、全てを思い出した。

 女湯でルミリアにぶっ飛ばされたこと。

 木に縛り付けられてモンスターの餌にされたこと。

 モンスター諸共爆破されたこと。

そして俺は、これら戻った記憶を踏まえて爆破されたことにより、一時記憶を失っていたのだろうという推測が立った。


 「お前のせいで死にかけたわ!」


 「でも、威力は抑えたわよ? 感謝しなさい?」


 俺とルミリアの言い合いの火蓋が切られようとした時だった。


 「パパ…眠い……」


 と眠そうな目をこすりながら、うとうとした声で幼い銀髪の少女が口を開いた。

 俺たちは、その姿を見て、互いに目を合わせ今はやめておこうと目で会話をする。

 ルミリアは、うとうとと船をこぐ少女を見て微笑みながら言った。


 「貴方が目を覚まして安心したみたいね」


 「………そうか。じゃあここで寝ればいい」


 俺は、自分が眠っていたベッドを綺麗に片付け、少女の背中を押して誘導する。


 「んー………おやすみなさい」


 少女は、ベッドへと入り俺たちにそう言って静かに目を瞑り寝息を立てて眠りについた。

 眠ったのを見届けた俺は、ルミリアがついているテーブルの反対側へと寝てしまった少女を起こさないように静かに椅子を引き座る。


 「可愛い寝顔ね。この子、名前はなんて言うの?」


 「………わからない」


 安心したように眠る少女の寝顔を頬杖をつきながら俺は言う。


 「わからない? ずっと一緒にいるんでしょ? なのに名前がわからないなんて事あるの?」


 「ずっと一緒じゃねぇよ。こいつとは、昨日初めて会ったんだ」


 そう昨日俺は、初めてこの少女に出会った。

 出会い方はトラックに轢かれそうだった所を俺が助けたと言う感じだ。

 しかし、それが失敗してこの世界にくることになったのだが。

 今でも俺の不甲斐なさには自分で呆れている。


 「昨日会ったのになんでこの子は、貴方のことをパパって呼ぶのかしら? 貴方のことを随分と信頼しているようだけれど」


 「……それは、俺がこの子のパパになったから……かな?」


 俺は、質問の答えに疑問形で返し、ルミリアは、私に聞かないでと呆れた顔をする。

 なぜこの幼い少女は、俺のことをパパと呼ぶのか。

 それは俺がこの世界にくることとなった謎の声による選択肢の影響だろう。

 その選択肢は、異世界に転生してこの子を立派な神様に育ててください。

 と言うものだった。

 今でもこの子が神様になると言うことは信じられないし、育てろと言われても俺が元いた世界でも自身がろくな暮らしが出来ていなかった。

 そして、異世界という未知の世界に幼い少女と放り出されて、気持ちの整理がついてない状況で俺は、この子を育てる事になってしまったらしい。


 「……まぁ。貴方たちのことはあまり詮索はしないでおくわ」


 ルミリアは、頭を抑えて諦めた様子でそう言った。


 「おう」


 「それはそうと。ハヤテだったかしら。

貴方の罪の償いをしてもらわないといけないわ」


 「俺の罪? モンスターと一緒に爆発させたじゃないか。もうそれでチャラになったんじゃないのか?」


 「そんな馬鹿なことあるわけないでしょ? 私の裸をみたのよ? まだまだ償ってもらうからね。と言っても爆発とか物騒な事はもうしないわ。それで、提案なのだけれど、貴方この子を育てるんでしょ? だったらお金が必要不可欠だと思うの。貴方見たところお金持ってなさそうだし。だから、私とパーティを組まない?」


 俺の罪はまだ消えていないと言うところに驚きだったが、もっと驚くべきことがルミリアの口から告げられる。

 それは、ルミリアとパーティを組むと言う提案だった。

 

 「パーティ……」


 パーティという言葉を俺は知っている。

 ゲームとかでよく聞く言葉だ。

 いわゆる一緒に行動して冒険したりモンスターと戦ったりする仲間のようなものだ。

 それを今俺は、ルミリアから組まないかと言われているのだ。


 「ちなみになんだけど今私たちが泊まっているこの宿代なんだけどね。貴方を囮にして倒したモンスターの素材を売ったお金なの。でね……正直、私お金が無いの、いつも一人でモンスター倒したり依頼をこなしたりして一日を生きていくのがやっとな状況なのよ。だけど、今回、貴方を囮にして分かったわ。パーティの偉大さがね。だから、私と組んでくれないかしら? 貴方にもいい提案だと思うけれど…。どうかしら?」


 ルミリアの貧乏なところは俺と少女の詮索をしなかったという借りがあるので聞かなかった事にするが、お金を得られるという言葉が俺の心に響く。

 俺は、しばらく考え最後に気持ちよさそうに眠る少女を見てから答えを出した。


 「わかった。組もうパーティ」


 「本当に!? ありがとう!」


 了承の言葉を聞いたルミリアは、よほど嬉しかったのか勢いよく立ち上がり飛び跳ねて喜ぶ。

 はしゃぐルミリアだが俺は


 「おい。起きちまうだろ?」


 「あっ。ごめんなさい。でも、嬉しいの。あれから私ずっと一人だったから………」


 「……お前も大変らしいな」


 正直驚いた。

 俺の印象では、ルミリアがこんなに無邪気にはしゃぐとは思いもしなかった。

 女湯では、あんなにしかめっ面で俺のことをぶっ飛ばしたくせに……。

 と俺はしみじみ思う。


 「じゃあ、パーティ結成を祝して、寝ましょう」


 「祝して寝るの? こういう時ってなんか豪華な食事とかで乾杯じゃないのか?」


 「そんなお金あるわけないでしょ!? 貴方達の宿代で消えたわよ。だから、明日から働いてもらうからね!」


 「急に戻ったな………」


 と女湯で出会った時のルミリアに戻り隣の部屋へと戻って行く。

 俺も、寝る事にし部屋にあったソファに腰をかけ今日のことを思い返しながら深い眠りにつくのだった。

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