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第一話 ロリと死。略してロリ死

 

ある日の清々しい秋の朝。

小鳥達は(さえず)り。

程よい熱気と風は、


トラックに轢かれそうなロリを助けようと駆け出し一緒に轢かれそうな俺を包み込む。


そんな状況で俺は後悔していた。

高校生で学校にも行かず引きこもりをやっていた人間が外に出るべきじゃなかったんだ…と。


そして、数秒後。


俺、神城(かみしろ(はやて)高校二年生はコンビニ限定発売の萌えフィギュアを買いに行ったその帰り、トラックに轢かれそうなロリを助けようとしたが、引きこもりをやっていただけあって体の衰えが先に立ち、あろうことか一緒に引かれてロリ共々撥ねられ即死という人生の結末を迎えたのだった。



◇◇◇



「ーー起きてください。神城颯」


(……んぁ? 誰だよ? 人がせっかく気持ち良く眠っていたのに……。俺は死んだんだよ…。助けようとしたロリ共々な。もしかしたら助かるかもしれないと淡い期待を抱かせてしまったロリにも申し訳ないし自分が不甲斐ない。このまま永遠に寝かせてくれよ…)


死んだはずの俺に何故だか聞こえる謎の声。

だが、俺は自分の不甲斐なさを嘆き、忘れようと再び深い眠りーーーー否、永遠の眠りにつこうとした。


「待ってください。神城颯。貴方はここで終わっていい人間ではありません」


(なんだよしつこいな…。俺は死んだんだよ。こんなロリ一人も助けられないような人間は永遠に眠ってたらいいんだよ)


「そんなに自分を責めないでください。神城颯。貴方は勇気ある行動をしたのです」


(勇気ある行動ね...。だけどやらかしたじゃないか。それでこの結果、この有様なんだよな。もういいだろ? 誰だか知らないが寝かせてくれ)


「それは困ります。貴方にはやってもらうべき事があるのです。だから起きてください」


(あぁ! もうなんだよ。しつこい奴だな…。はぁ…わかったよ……少しだけ起きてやるよ…つったって、もう起きてるくね? なんでか知らんけどな」


思えば先程からなんとも不思議な体験をしている。

俺の目の前は真っ暗であるのにも関わらず意識がハッキリとしていておまけに声までもが聞こえるのだ。

これが死という事なのだろうか?


「ご協力感謝します。まずは改めて、神城颯。貴方はトラックに轢かれそうなロリ...少女を助けようとしました。しかし、あろうことか長きにわたる引きこもり生活が仇をなし虚しくも轢かれてしまうという男として情けがない失態を晒し即死してしまいました。そして、短い人生を終えた...」


(おふぅ...なんだよ...俺の人生至上最悪の黒歴史をわざわざ詳細に言わんでもええやん…)


「しかし、その行動は大変称賛に値するものであり、この私を感動の渦に引き込んでくれました。なので私は貴方にご褒美を贈りたいと思います」


(...…ご褒美?)


「そうです。ご褒美です」


(……なんで?)


ご褒美というのはそもそも何かを達成した時に貰える品であってやらかした時には貰えないもののはずだ。それをくれると言っているらしい。意味が分からない。


「まぁまぁ、そんなに考えてたって答えは出ませんよ? ここは一つ純粋に受け取ってくださいませんか?」


(……まぁ…貰えるならそれに越した事は無いかな…)


「はい! じゃあ決まりです! では、貴方にはこちら! 

『三種の神器セット』を贈呈しまーす!」


パンパカパーンと言わんばかりに意気揚々とそう口にした謎の声。

しかし、


「――っとその前に貴方の身体を戻さなきゃですね」


思い出したかの様に声の主が言うとパチンと指を弾く様な音が響き渡った。


「な、なんだ?」


一瞬何が起きたのか分からなかった。

だが、すぐさま身に起こった異変に気が付いた。

今まで真っ暗だった視界に光が映し出されたのだ。

そして、そのまばゆいばかりの光の中心に女性が一人浮いている。

とても美しく気品にあふれた出立ち。言うなれば神々しいと表現すべきか。

俺にはそれが普通の人間ではないことが本能的に分かった。


「はい完了です」

「何をした?」

「たった今、貴方の身体をトラックに轢かれる前に状態に戻したのです。そうでなければ『三種の神器』セットは渡せませんからね。一応確認をお願いします」

「お、おう…?」


突然、目の前に姿見が現れる。

そして、それに映し出されたものを見て俺は驚いた。

何故ならそこにはとてもトラックに轢かれたとはとても思えない五体満足の自分の姿が写っていたのだ。

それにコンビニに萌えフィギュアを買いに行った服装まで忠実に戻っている。おまけにフィギュアさえも無事であった。


「お前一体何者だ…?」

「あぁ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。私はニコリィ。女神をしております」

「…め、女神。ま、まぁ確かにそう言われるとそうなんだろうな…」


私は女神ですと言われてはいそうですかと信じる俺ではない。だが、彼女の風貌とその出立ちそして、俺の身体を元に戻した事実を踏まえると納得せざるをおえなかった。


「では自己紹介も済んだ所で改めてお待ちかねのご褒美『三種の神器』セットを贈呈したいと思いまーす!」


ドンドンパフパフとニコリィの背後に無数の楽器が出現し華々しくそれを彩った。

そして、俺の元へ三つの光の球がゆらゆらと近づいてくる。


「では、まず一つ目の神器です」


どうやら一つづつ紹介していく方式らしい。

まず一個めであろう光の球が花火の様に小さく弾ける。

その中から出てきたのは金色のリングだった。


「なんだコレ?」

「これは『次元リング』という物で使えば世界と世界とを繋ぐ扉を開く事ができる神器です。基本的には利き腕に装着していただく事になります。それから使用方法ですが実演も兼ねて説明したほうが分かりやすいかと思いますのでご協力お願いします」

「あ、あぁ、わかった…」


言葉で説明されても分からないだろうと感じたので俺は了承した。


「ありがとうございます。まず初めに使用者の利き腕に装着しまして」


言いながらニコリィが指揮者のように腕を振るとリングがふわりと宙に漂い俺の利き腕である右腕に装着された。


「そしたらこうやって…」


続けてニコリィがリングに両手をかざす。

すると、リングの周りに白く発光する小さな光のような物が出現した。


「なんだコレ!?」

「これは魔素粒子と言って魔力の源になる原子レベルの粒になります。今回は私の力で可視化できる様に細工を施しました。身体に害はありませんのでご安心ください」

「お、おう…」


いよいよファンタジックな展開になってきた。






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