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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第二楽章 疑惑の小夜曲(セレナーデ)
9/47

#008「金曜日」

@生徒会室

コンペイ「宍戸に誘拐と不倫の疑い、か」

アイ「また今回も、単なる勘違いで終わりそうな気がする」

トウヤ「でも、そうだとすると、この写真の説明がつかないぞ?」

チャコ「そうですよね。小さい女の子と手を繋いで歩く写真に、三十代くらいの女性とセイレーン珈琲でお話してる写真。――翠人先輩は、どうですか?」

スイト「そもそも論になるんだけど、この写真、かなりハイアングルなんだよね。どこから撮影したんだろう?」

  *

@神園家

アズサ「遅かれ早かれ、身元が発覚されるとは思っていたよ。でも、写真を見せた翌日に特定されるとは思わなかったな」

アイ「条件に合いそうな範囲を絞って、九人でローラー作戦に出たから」

チャコ「この出窓からだったんですね。これが、あの写真を撮ったカメラですか?」

アズサ「そうだよ。現場写真は、記事の要だからね。奮発して上等なカメラを使ってるのさ。やっぱり、デジタル一眼レフは違う」

アイ「ちょっと拝借」

アズサ「あっ」

アイ「えぇっと、元データは。……ん? 何だ、これは?」

チャコ「わぁ。授業風景や、休み時間の様子が、バッチリ撮られてますね」

アズサ「もう、その辺で良いでしょう?」

アイ「恐ろしいのは、どれもカメラ目線でないことだな。あっ」

チャコ「あら。生徒会室の様子まで記録されてますね。記事になるんですか?」

アズサ「それは、そのぉ」

アイ、アズサの胸倉を掴む。

アイ「これらの写真には、別の使途があるんだろう。何に利用してるんだ? 答えによっては、制裁を辞さない」

チャコ「乱暴しないでくださいよ、藍先輩」

アズサ「ぶ、部費の足しにしようと思って、ブロマイドを刷って売り捌きました」

アイ「全部、売り切れた訳ではあるまい。家宅捜査されたくなければ、どこに保管してあるか、嘘偽りなく吐け」

チャコ「落ち着いてくださいよ、藍先輩。怯えちゃってるじゃありませんか」

アズサ「ない、ない。ここには一枚も無いの。出来上がったのは、残らず資料室の戸棚に置いてるから。隠してる訳じゃない。あたしを信じて」

アイ、手を離す。

アイ「土橋さん。営業妨害と、肖像権とプライバシーの侵害、どっちが重いと思う?」

チャコ「わたしは、後者の方が重いと思います。でも、情状酌量の余地もあるかと」

アズサ「そのカメラ、すごぉく高かったの。だから」

アイ「ハァ。呆れて、怒る気力も失せてきた。どうしようか、土橋さん?」

チャコ「ここは許してあげましょうよ。でも、梓先輩。二度と同じことをしちゃ駄目ですからね」

アズサ、平伏。

アズサ「ありがとうごぜぇます、御奉行様」

  *

@生徒会室

スイト「案の定、盗撮だった訳だね。窓からカメラを投げ捨てれば良かったのに」

チャコ「そんな酷いことできませんよ」

レモン「いくらなんでも、やりすぎね。でも、こうなると、また白紙に戻るわね」

ハイジ「いっそのこと、本人に写真を見せたらどうかな?」

コンペイ「それは、どうなんだ?」

アイ「フム。案外、悪くないかもしれない」

トウヤ「よし。どんな反応するか分からないが、月曜日に訊いてみるか」


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