#004「真相は」
@南館三階
ゲンスケ「日立」
トウヤ「宍戸か。何か用か?」
ゲンスケ「用があるのは、そっちだろう。いつから生徒会は、探偵サークルになったんだ? 火野に跡をつけさせてまでして、何が知りたいんだ」
トウヤ「全部お見通しか(ただ、地井には気付いて無さそうだな)。それなら単刀直入に訊くけどさ。他人の持ち物をコッソリ隠したことはあるか?」
ゲンスケ「一切、無い」
トウヤ「ホントか? 昼休みや放課後になるとすぐに、教室に鞄を置いたまま姿を消してしまうけど、どこで何をしてるんだ?」
ゲンスケ「それについては、黙秘させてもらおう。だが、俺はやってない。だいたい、ベクトルが逆だ。よく考えてみろ」
トウヤ「フーン。それなら、ちょっと協力してくれよ」
ゲンスケ「断る。俺は生徒会役員ではない」
トウヤ「そう言わずに。宍戸だって、疑いを晴らしたいだろう?」
ゲンスケ「それは、そうだが」
トウヤ「昼休みに、黛の髪留めが無くなったんだ。鞄に挟んでたらしいんだけど」
ゲンスケ「ダッカールか? 言っておくが、俺は、持ってないからな」
トウヤ「オッ。それは、好都合。もし、いまの宍戸の回答が嘘でないとすれば、真犯人は別に存在することの証明になるよな?」
ゲンスケ「背理法か。だから、初めから俺は違うと言ってるだろう」
トウヤ「ハイリ、入れ風呂、背理法。これまでの傾向から鑑みるに、犯人は放課後に姿を現すと思うんだ。そこで一つ、俺に考えがあってな。耳を貸せ」
ゲンスケ「手短にな」
トウヤ、ゲンスケに耳打ち。
トウヤ「どうだ?」
ゲンスケ「悪くないな。俺の潔白が明らかになるだろう」
トウヤ「それじゃあ、放課後に頼む」
*
真犯人「誰も居ないな。よし。いまのうちに」
ゲンスケ、掃除用具用ロッカーから登場。
真犯人「ヒッ。そんなところに隠れて、何をしてるんだ」
ゲンスケ「そっちこそ、コソコソと何をしてるんだ? あぁ?」
ゲンスケ、真犯人の手を掴み、高々と掲げる。
ゲンスケ「これは何だ?」
真犯人「これは、そのぉ」
トウヤ「誰か残ってるのか?」
アスカ「あっ。あたしの髪留め」
ゲンスケ「これで、ハッキリしただろう?」
トウヤ「あぁ。疑って済まなかった。それでは、現行犯として生徒会室に同行願おうか」