#046「それから十二年」
@地井家
月島「堅苦しい挨拶はこの辺にして、久々に、旧交を温めることにいたしましょう。それでは、グラスの準備はよろしいですか? 乾杯っ」
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コンペイ「マスター、オードブル追加」
ソラ「ハァイ。空いてるお皿は、お下げしますね」
アイ「コン。一人で食べ過ぎだ。また、食あたりになりたいのか?」
チャコ「まぁまぁ。大目みてあげましょうよ」
スイト「たまのハレの日だもんね」
レモン「ヤァヤァ、そこの、お二組。盛り上がってるかしら? アッハッハ」
トウヤ「オイ、金。既婚者を邪魔するなよ。どんだけ飲んだか知らないが、すっかり出来上がってるんだからな。ホラ、しっかり立て。――紫苑、手伝ってくれ」
シオン「あいよ。ウワァ。スンゴイ、酒臭い」
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地井祖母「あまり食が進んでないようですけど、別の料理をお持ちしましょうか?」
ハイジ「いいえ、お気遣いなく」
コウタ「山盛りに持ってこられても、すぐには平らげられないって」
ゲンスケ「向こうに居る馬鹿みたいに、早食いじゃないからな」
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スイト「そういえば、二人には、このハガキは届いてる?」
コンペイ「結婚しました。堀切透アンド梓。――堀切なんて同級生、居たっけ?」
アイ「そっちじゃない。わたしたちと繋がりがあるのは、新婦のほうだ。神園さんを覚えてないのか?」
チャコ「わたしは、新郎くんと同級生でしたけどね」
スイト「新聞部の部長をしてて、小柄な女の子が居たでしょう?」
コンペイ「あぁ、あの引っ掻き回し魔か」
アイ「どういう覚えかたをしてるんだか」
チャコ「思い出せたようですね」
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トウヤ「いま、何の話をしてるんだ?」
ハイジ「思春期に一度思い描いた夢は、何年経っても忘れられないものだねって話だよ」
コウタ「それより、金は?」
シオン「奥の部屋に寝かせてもらってる。いま、地井のお婆さんが面倒を見てる」
ゲンスケ「酔っ払い二号だな。酒癖の悪い奴は、これだから困る」
トウヤ「あれ? 誰か他に、酔い潰れた人間が居るのか?」
ハイジ「というより、酔った状態でバッタリ遭遇したと言ったほうが正しいね」
コウタ「あんな場所で鉢合わせするとは、思わなかったもんな」
シオン「誰なんだよ、ソイツ?」
ゲンスケ「我が不肖の弟子だ。庚午中央駅のホームのベンチに置いてきたから、今頃は、駅員に保護されてるだろう」
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月島「さて、皆さん。宴も酣でございますが、この辺で中締めにしたいと思います。それでは、お手を拝借。一丁締めでまいります。ヨォオッ」
♪パンッという拍手の音。




