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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第十楽章 親愛の譚詩曲(バラード)
44/47

#043「二月十四日」

@生徒会室

チャコ「この前は素敵なお土産を、ありがとうございました」

レモン「どういたしまして」

アイ、入室。

チャコ「わぁ。たくさん持ってきたんですね、藍先輩。これから配るんですか?」

アイ「いや、これは」

レモン「違うのよ、茶子ちゃん。これは、女子からの贈られた物なの」

チャコ「あぁ。友チョコでしたか」

アイ「文化祭で、あんなことをしなければ、こんなことには」

レモン「まぁまぁ。人気があることは、それだけ注目されてるってことで良いじゃない」

チャコ「羨ましい限りです」

アイ、紙袋からチョコレートを取り出し、一つ一つ包装を解体。

アイ「これ、やっぱり三月に返さなきゃ駄目なんだろうか?」

レモン「さぁ。それは、内容によるんじゃないかしら。本気度合いが高い物は、お返ししたほうが良いけど、そうでない物は、美味しくいただけば、それで良いだろうし。――ところで、茶子ちゃん。翠人くんには、もう渡したの?」

チャコ「はい。今朝、通学路で」

アイ「ただ渡しただけじゃないんだろう?」

レモン「返事は?」

チャコ「それがですね『僕も同じ気持ちだよ』って」

アイ「ホォ。それは良かったな」

レモン「キャア。おめでとう、茶子ちゃん」

チャコ「本当に、嬉しくって。――そういえば、藍先輩は紺平先輩に渡さないんですか?」

アイ「海原くんは、バレンタインが何の日か、よく分かってないからな。小学校のときだったか、貰ったチョコレートを全部一気に食べて、食あたりを起したことがあった。それから、いくらチョコレートを食べ過ぎたところで、鼻血は出ないものだと知ったんだ」

レモン「ハハハ。何か、そんな感じがするわね。こういうイベントには疎そう」

チャコ「フフフ。そうですね。――あっ、そろそろ三者面談の時間なので」

アイ「今度は土橋さんの時間か」

レモン「行ってらっしゃい。荷物は見とくわ」

チャコ、退室。

アイ「金さんは、進路希望調査票には、何て書いた?」

レモン「とりあえず、進学に丸を付けたわ。就職は、しないつもりだから。でも、大学か専門学校かは、まだ未定ってことにしてるの。藍ちゃんは?」

アイ「わたしも、似たようなものだ」

レモン「少し前に、選択科目の履修希望用紙を出したところなのに、具体的な進路が決まってる訳ないじゃない。ねぇ?」

アイ「本当。考える時間が短すぎる」

  *

@二の一

火野祖父「マイナスもない代わりに、プラスもないからな。何かしら一芸に秀でていれば、その道を進ませるんだがな。まぁ、それで、こちらとしては、文学か法学でも学ばせて、会社勤めさせるより他に無いと思うとるんだ」

  *

@南館一階

ソラ「あっ、火野くん。面談は終わったの?」

コウタ「あぁ。終わった」

ソラ「落ち込んでるね。何か、キツイことでも言われたの?」

コウタ「いや。その通りのことを言われて、何も言えなかっただけだ」

ソラ「そっか。それは辛いね。でも、大丈夫だよ。現状を踏まえて、どうするか考えようよ。考えかた一つさ」

コウタ「そうだな。……地井で良かった」

ソラ「ん? 何が?」

コウタ「同じことを木場に言われたら、偽善に満ちた説教だの、価値観の押し売りなら、あいにく間に合ってるだのと言い返してしまうところだ」

ソラ「フフッ。面白い皮肉だね」

コウタ「ハハッ。……あぁ。気が晴れてきた。これで、心置きなく」

ソラ「昼寝ができる?」

コウタ「先取りするなよ」

ソラ「ゴメンね。でも、ここは寒いから、寝るなら生徒会室にでも行きなよ」


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