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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第九楽章 焦燥の鎮魂曲(レクイエム)
42/47

#041「ユウカイ」

@台北市

アイ「(国立故宮博物院、台北一〇一、猫空、龍山寺、台北市立動物園、陽明山国立公園。)よし。チェックポイントは、すべてクリアした。あとは、空港に戻るだけだな、コン」

アイ、栞から顔を上げて見回す。

アイ「どこへ行ったんだ、コン」

  *

コンペイ「ムムッ。ここは?」

謎の男性「手荒な真似をして済まなかった。どこか痛いところは無いか、紺平?」

コンペイ「誰? 何で、俺の名前を知ってるんだ?」

謎の男性「知られたくなかったら、栞に名前を書かないことだな。仮に書いてなかったとしても、名前を知ってることに変わりないが。大きくなったな」

コンペイ「近付くな。ヘルメットを脱げよ」

謎の男性「そうだな。顔を見せないと不安だ、なっ」

アイ、二人のあいだに駆けつけ、謎の男性に回し蹴り。

♪ヘルメットが落下し、転がる音。

謎の男性、頭を押さえて蹲る。

アイ「無事か、コン」

コンペイ「藍ちゃんっ」

アイ「軽く気絶させただけだから、安心しろ。それより、怪我は無いか?」

コンペイ「助かった。流石だな、藍ちゃんは。やっぱ、有段者は違う」

アイ「まったく。陸に上がると、からっきし駄目だな、コン」

コンペイ「へぇ。鮒や鯉と一緒でさぁ」

アイ「それなら、呼吸困難になれ」

アイ、コンペイの鼻を抓む。

コンペイ「ギブ、ギブ、ギブ」

アイ、手を放す。

コンペイ「プハァ。参りました」

アイ「フン。はぐれるなと、あれほど注意したというのに。どれだけ他人様に心配と迷惑を掛けたら気が済むんだ、この大馬鹿者」

コンペイ「どう、どう、どう。反省してるから、怒らないでくれよ」

アイ「どうだか。三歩も歩く前に忘れそうだ。あの世で父親が、草葉の蔭で泣いてることだろう」

コンペイ「勝手に殺すなよ。蒸発したけどさ」

謎の男性「ホント、ホント。幽霊にしないで欲しいね」

アイ「その特徴的な声、その太い眉、その垂れ目は、もしかして」

謎の男性「天王寺さんの娘さんだね? ちょいとばかり、じゃじゃ馬が過ぎるよ。何の心構えもない相手に突然の回し蹴りを食らわせるのは、過剰防衛だと思うね」

コンペイ「まさか、俺の」

謎の男性「その、まさか。言っておくが、会うつもりはなかったんだ。たまたま、仕事で来てただけでね。明日の朝には、別の場所に移るところだったんだ。会わずに立ち去ろうかとも思ったんだが、居ると知ってしまったからな。まだ、自由行動の時間は残ってるだろう? 集合時間には、ちゃんと空港まで送るから、ちょっと、俺の話を聞いてくれないか?」

アイ「他人の空似にしては、詳しすぎる。だから、おそらく本人なんだろうと思う。どうする、コン?」

コンペイ「たとえ偽者でも良い。話を聞きたい」

謎の男性「フフフ。お嬢さん、疑ってるね? その姿勢、嫌いじゃないよ。さすがは、天王寺さんの娘さんだ。しっかりしてる。それじゃあ、駄目押ししておこうか」

謎の男性、胸元からロケットペンダントを出し、中の写真を見せる。

謎の男性「これ、だぁれだ?」

アイ「これは、コンと」

コンペイ「母ちゃんだ」

謎の男性「この頃の紺平は、まだ物心付く前だから、覚えてないだろうな」

アイ「疑って、申し訳ありませんでした」

コンペイ「それじゃあ、本当に本物なのか」

謎の男性「あぁ、そうさ。改めて訊くが、どうする?」

アイ「危害を加えられる懼れは少ないと思う。でも、これはコンのビジネスだから、聞くかどうかは、コンが決断してくれ。わたしは、それに従う」

コンペイ「本人だと判っても、俺の気持ちは変わらない」

謎の男性「決まりだな。ついて来な」


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