#040「空の旅」
@海原家
海原母「もしもし、海原です」
謎の男性『俺だよ、麗しのサブリナ』
海原母「いつからボギーになったのよ。外は雨なの?」
謎の男性『盗聴予防の水道水だよ』
海原母「知ってるわ。いま、どちらに?」
謎の男性『悪い。例によって、近況や連絡先や現在地は明かせない』
海原母「それに、相変わらず非通知なのね」
謎の男性『済まない。紺平は元気か?』
海原母「風邪ひとつ引いてないわ。今は、修学旅行中よ」
謎の男性『もう、そういう時期か。行き先は?』
海原母「待って。栞の写しを見るわ」
*
@飛行機内
ソラ「僕は、飛行機に乗るのも、海外に行くのも、これが初めてなんだ。火野くんは?」
コウタ「スゥ、スゥ」
ソラ「アララ。どこでも、すぐに眠れるんだね」
*
タツキ「落ち着け。流体力学で、揚力について習っただろうが」
ミツテル「ベルヌーイの定理は、信用できない。鋼鉄の塊が、こうして雲の上に浮かんでることを考えただけで、戦慄が走る」
タツキ「ハァ。高所恐怖症なら、窓際のシートを選ぶなよ」
*
ハイジ「ツーヒット、ノーブロウ。一四五七」
レモン「ワンヒット、ノーブロー。二八九〇」
ハイジ「ノーヒット、ツーブロウ。三四八九」
レモン「ツーヒット、ワンブロウ。二一六三」
ハイジ「ホームラン」
レモン「やったぁ。これで同点ね」
*
アズサ「何を聴いてるのかなぁ」
アズサ、スイトのイヤホンのコードを掴む。
スイト「そのままコードを引き抜いたら、神園さんのお喋りな舌を引き抜くよ?」
アズサ「グッ。悪戯の代償が重過ぎますよ、閻魔さま」
*
コンペイ「客室乗務員のお姉さんは、美人揃いだよな。――いってぇ」
アイ「オッと、失礼。エコノミークラス症候群にならないよう、軽く脚を動かそうとしただけだ」
コンペイ「偶然にしては、踵が俺の爪先にクリティカルヒットしすぎだぞ」
*
トウヤ「ムカつきは治まったか? 通路側のほうが良ければ、席を交代するぞ?」
ゲンスケ「そこまでしなくていい。だいぶ、楽になった」
客室乗務員「お水をお持ちしました。お加減はいかがですか?」
トウヤ、水を受け取る。
トウヤ「かなり落ち着いてきたみたいです。ありがとうございます」
*
@台湾桃園国際空港
校長「これは見聞を広め、知識を深めるための修学旅行であって、決して遊びに来た訳ではないことを心に留めておくように」
月島(付箋だらけの観光ガイドを片手に言われても、説得力ゼロですよ)
*
@台湾のホテル
謎の男性「しのぶ。いや、ナギサだったか?」
海原母『ウフフ。どっちもハズレよ。今は、朱美なの』
謎の男性「俺と出逢った頃の名前に戻したのか」
海原母『捜しやすいでしょう? ずっと待ってるわ』
謎の男性「ハハッ。いつか、必ず迎えに行くさ。それじゃあ」
海原母『身体を大事に。またね、業平さん』
謎の男性、受話器を戻す。
謎の男性「これが因果というものだろうか?」




