#038「冬期講習期間」
@中館二階
ゲンスケ(無闇に頼りたくは無いが、貸しもあることだ。いや、でもなぁ)
トウヤ「入ろうか、やめようか、考え中? 思い詰めた顔をしてるけど、どうしたんだ?」
ゲンスケ「ウッ。何だ、日立か。脅かすな」
トウヤ「誰か、生徒会に用があるのか? それとも、俺に用があるのかい?」
ゲンスケ「あぁ。実は、バイオリンを弾ける人間を探してるんだが、心当たりは無いか?」
トウヤ「急な話だな。ウゥン、そうだな。バイオリン、か」
ゲンスケ「無いなら無いで構わない。聞かなかったことにしてくれ」
トウヤ「いやいや。無いわけでは無いんだ。ただ、明日まで返事を待ってくれないか?」
ゲンスケ「それは一向に構わないが、誰に頼むつもりなんだ?」
トウヤ「それは、相手の了承が得られてから答えるってことで。まぁ、任せてくれ」
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@生徒会室
スイト「弓を折って絵筆に持ち替えたのに、いまさら何を」
トウヤ「そう言わずに、協力してくれよ」
チャコ「わたし、翠人先輩がバイオリンを弾く姿、見てみたいです」
スイト「……昼食一週間分で手を打とう」
トウヤ「さすがに、ただでは引き受けないか。わかった。それ、手製の弁当でも良いか?」
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@宍戸家
ゲンスケ「協力者が見つかったのは良いが、何で弁当を作らねばならないんだ?」
トウヤ「だから、いま説明したじゃないか。四人分も五人分も、たいして変わらないだろう?」
ゲンスケ「手間は変わらないが、あんまりエンゲル係数を上げないでくれよ。そうでなくても、影児や葉月がよく食べるようになってきたってのに」
トウヤ「主夫みたいな発言だな」
ゲンスケ「悪かったな、所帯染みてて」
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@木場家
スイト「やっぱり、弦が錆びてきてる」
リョウカ「翠人。何やってるの? あっ、バイオリン。何? もう一度弾こうと思い直したわけ?」
スイト「拠所ない事情があってね。二週間後には止めるから」
リョウカ「エェ、良いじゃない。そのまま続けなさいよ。お姉ちゃんが個人レッスンしてあげるから」
スイト「擬音ばかりで何一つ伝わらないから、結構だよ。僕は、エイリアンじゃないから」
リョウカ「誰が宇宙人よ」
スイト「人間離れしてるという自覚が無いの?」
リョウカ「誰も、好き好んで、こうなった訳じゃないわよ」
スイト「それは、僕も同じだよ。ところで、何の用?」
リョウカ「時計を見なさい。もう、夕食の時間よ」




