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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第八楽章 追憶の輪舞曲(ワルツ)
38/47

#037「冬来たりなば」

@南館二階

マサル「二学期も、今日で終わりだね」

スイト「そうだね。――今日の南館は、いつもより賑やかだね」

マサル「夏休みに入ってから、三年生は自由登校だったもんね。こんなに大勢集まってる光景も、ずいぶん久し振りだ」

スイト「一月の入試と、二月の卒業式を前に、三年教室は、最後の大掃除だね」

マサル「来年は、僕らの番なんだよね」

スイト「そうだね。あと一年なんだよね」

  *

@音楽室

ゲンスケ「吹奏楽部は、部員が三年生だけなのか」

タマキ「そうよ。軽音楽部と一緒よ」

ゲンスケ「だから十二月の今になっても、部長が代替わりしてないという訳か」

タマキ「その通り。それで、さっきの話に戻すんだけど」

ゲンスケ「三学期は、卒業式に向けて、平日は毎日練習したいって話か?」

タマキ「そう。その話よ」

ゲンスケ「三年生は自由登校なんだから、何も昼休みと放課後に集まらなくたって良いじゃないか。時間帯をズラせよ」

タマキ「そうはいかないわ。昼休みと放課後に練習するのが、一つの様式美なんだから。まぁ、いいわ。素直に要求を呑まなかった場合に備えて、こっちにも策があるから」

ゲンスケ「あくまでも、自分勝手な要望を押し通す気なんだな。こっちだって、卒業式に向けて練習しなきゃいけなくなってしまったというのに」

タマキ「ピアノの技量を確かめるため、課題曲を出します。ノーミスで弾ければ、今まで通り使って良いわ。これが、そのスコアよ」

タマキ、譜面台にスコアを置く。

ゲンスケ「聞いちゃいないな。――ベートーベンか」

タマキ「付箋が貼ってある曲を、始業式の日の放課後までに練習しておくこと。良いわね? せいぜい、頑張りなさい」

タマキ、退室。

ゲンスケ「さてと。仕方ないから、譜読みするか」

ゲンスケ、付箋のページを開く。

ゲンスケ「ん? これ、バイオリンとの協奏曲じゃないか。演奏相手を探せっていうのか?」  

  *

@北館三階

タマキ(フッフッフ。今頃、スコアを開いて焦ってることでしょう。バイオリンの腕が立つ人間なんて、一介の公立高校に、そうそう居るはずないわ。部室はもらったも同然ね)

  *

@生徒昇降口

ゲンスケ(待ってるときに限って、なかなか姿を現さないんだな)

ミツテル、ゲンスケに向かい、駆けつける。

ゲンスケ「遅い」

ミツテル「申し訳ありません、師匠。でも、どういう風の吹き回しですか? 急に自分を呼び出すなんて」

ゲンスケ「単刀直入に訊く。星見は、バイオリンを習った経験があるか?」

ミツテル「そんな高尚な趣味は、不肖星見にはありませんよ」

ゲンスケ「そうか。無いか」

ミツテル「お役に立てなかったようで」

ゲンスケ「気にするな。そう簡単に事が運ぶとは思ってない」


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