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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第七楽章 思慕の夢想曲(トロイメライ)
36/47

#035「セイウチと大工」

@生徒会室

コウタ「文化総務の仕事は、文化祭が終わっても山積みなんだな」

アイ「あぁ。雑務が多くて、なかなか面倒なんだ。すまないな、手伝わせて」

コウタ「良いって。生徒から提出された会計帳簿の点検だから、半分、会計の仕事みたいなものだ。――祭の準備が進んで、浮き立っていた校内も、ようやくいつもの落ち着きを取り戻してきたよな」

アイ「あぁ。秋も深まって、風が涼しくなってきたものだな。――クラスのティーシャツは、一組から順に、青、黒、赤、紫、緑、橙、と」

コウタ「月が変わったら、今度は、体育祭だな。海原は、自分の仕事を覚えてるんだろうか? ――六組の領収書も問題無し、と」

アイ「どうだか。名ばかり総務だからな。――勘定が合わないと思ったら、セルの選択範囲がズレてたんだな」

コウタ「そっちは終わったか、天王寺?」

アイ「こっちも、もう、クラスの分は済んだから、あと、クラブの分が終われば完成だ。火野くんは、先に帰って良い。おつかれさま」

コウタ「そうか。おつかれ、天王寺」

  *

@北館三階

トオル「(準備室からココまで、イーゼル運びを肩代わり。目の前にジッとしているせいで、緊張してアタフタしてしまわないよう、ポーズを維持しながらも、描き手にさり気ない話題を提供することで緊張を解く心配り。何より、長身と顔面偏差値の高さを惜しげもなく利用する、その狡猾さ。)クゥ。許すまじ」

アズサ「嫉妬は醜いぞ、美術部長くん」

トオル「誰?」

アズサ「パンパカパーン。風学園のタイムズ、神園梓だよ」

トオル「上履きが赤色ということは、二年生ですね。それから、クラスは四組でしょうか?」

アズサ「鋭いね。どうして四組だと思ったんだい?」

トオル「手の横に木炭の汚れがありますし、スカートに消しパンの屑があります。そして、今日、午後に美術の授業があったのは、芸術系だけです」

アズサ「エクセレント。美術部の部長でなければ、新聞部に勧誘してるところだよ。それは、さておき。話を戻すよ。茶子ちゃんは副会長にホの字、ゾッコン、クビッタケなのさ。諦めたまえ」

トオル「諦めてますよ。ただ、口惜しさを整理してただけです。――ところで、何故にイーゼルを一人で二台も持っているのですか?」

アズサ「鈍いね。その優秀な頭脳細胞を働かせたまえ。灰色のシナプスをスパークさせるのだ」

トオル「シナプスではなく、ニューロンだと思いますけどね。――ひょっとして、ペアを探してるんですか? そうだとしたら、はなはだ非効率に思えますけど」

アズサ「身も蓋も無いことを、サラリと言わないでくれたまえ。いつでも受け入れ万全、準備万端、万々歳で張り切ってる自分が、滑稽に思えてくるじゃないか。少しは先輩に気を遣うべきだ。こう見えても、ロマンチストで、ハートが繊細なのだからね」

トオル「すみませんね。そんな内情が秘められているとは、つゆ知らず」

アズサ「本気で悪いと思うなら、償いとして、モデルになってくれたまえ。多少、垢抜けないが、我慢しようではないか」

トオル「妥協案ですか。まぁ、自分もペアを探さないといけないと思ってたところです。お引き受けしましょう。――それでは、中に入りましょうか?」

アズサ「ウム。――突撃っ」


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