#033「いかさま裁判」
@生徒会室
トウヤ「それじゃあ、さっきの続きに移るぞ。――どうやら、チェシャ猫は、アリスにしか姿を見せていないようです」
スイト「やぁやぁ、アリスちゃん。面白いことになってるようだね。グフフ」
チャコ「まぁ、チェシャ猫さん。貴方のせいで、滅茶苦茶だわ」
レモン「アリス。一体、誰と口を聞いているんだね?」
チャコ「チェシャ猫ですわ、偉大なる女王陛下」
レモン「あたしを馬鹿にするのは、およし。猫なんて、どこにも居ないじゃないの」
チャコ「そんなことないですわ」
トウヤ「ここから金は土橋が指差す先を向き、木場は、土橋が指差す方向と逆に動く」
チャコ「いま、女王様の後ろに」
レモン「後ろ?」
チャコ「いえ、右です」
レモン「右?」
チャコ「いや、上。今度は、下だわ」
レモン「えぇい、からかうんじゃない。首を刎ねておしまい」
トウヤ「ここで土橋は、先に走り去る木場を追い駆けつつ、金から逃げて行く」
スイト「三十六計、逃げるに如かずってね。ついておいで、お嬢さん」
チャコ「もぅ、嫌。わたしったら、走ってばかりだわ」
レモン「逃がすものか。アリスをひっ捕らえよ」
トウヤ「はい、カット。今日は、ここまで」
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@天王寺家
チャコ「そちらは灰二先輩のですよ、紺平先輩」
レモン「紺平くんのは、こっちの折れ耳のほうよ」
コンペイ「そうなのか。――この、十月六日って何だ?」
アイ「十シリング六ペンス。この帽子の値段だ」
チャコ「ところで、ウサギ耳用のカチューシャと帽子用のバレッタは、れもん先輩のなのですか?」
レモン「違うわ、茶子ちゃん。これは、アスカちゃんから借りてるの」
コンペイ「あぁ、放課後の校内放送でお馴染みの」
アイ「耳や帽子は、手縫いで何とかなったけど」
チャコ「さすがに、エプロン作りにはミシンが必要そうですね」
レモン「もういっそ、衣装をジェーユーかシマクロにしようかしら? 無地のティーシャツに、役名とイラストを書いて」
コンペイ「それか、名前に因んだ色のティーシャツを着るか」
アイ「手軽に済まそうとするなよ。せっかく、ここまで用意したんだから」
チャコ「カジュアル過ぎますし、藍色と紺色を遠目で見分けるのは、至難の業だと思いますよ?」
レモン「生地とレースも買っちゃったものね。でも、あたし、ミシンは苦手なのよ。――藍ちゃんは?」
コンペイ「無理、無理。縫い終わってから、下糸をセットしてなかったことに気付くくらいだもの」
アイ「たしかに不得意だが、余計なことまで言うんじゃない。――土橋さんは?」
チャコ「わたしも、直線縫いしか出来なくて」
レモン「誰か、洋服作りが上手な人間が居れば助かるんだけど」
コンペイ「ミシンか。――あっ、そうだ。俺に、いい考えがある」
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@海原家
海原母「真っ白な生地とレースね。ウエディングドレスでも作るつもり?」
コンペイ「わっ、母ちゃん。もう起きてたんだ」
海原母「コソコソと紙袋を部屋に運ぶところが見えたから、卑猥な雑誌やビデオでも借りたのかと思ったんだけど、違ったみたいね。それ、どうするつもりなの?」
コンペイ「実は、母ちゃんに頼みがあってさ」
コンペイ、紙袋からラフ画を取り出す。
コンペイ「これで、こういうエプロンを作って欲しいんだ。文化祭の寸劇で使う衣装なんだけど」
海原母「へぇ、可愛らしいわね。良いわよ。たまには、母親らしいことをしないとね」
コンペイ「本当? でも、忙しいんじゃ」
海原母「紺平に任すってことは、他にミシンが使える人が居ないんでしょう? ちょうど、お店で着る新しいドレスを仕立てようと思ってたところだったのよ。ついでに作ってあげるから、遠慮しないで甘えなさい」
コンペイ「わぁ。ありがとう、母ちゃん」




