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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第七楽章 思慕の夢想曲(トロイメライ)
31/47

#030「猫無しのニヤリ」

@生徒会室

トウヤ「そうか。そういや、紫苑のほうは、そういうことになってたな。……えっ? いやいや。そっちで頑張れよ。……それじゃあ」

レモン「どうだった?」

トウヤ「文化祭は体育祭と同じで、七校同日開催だろう? それに、陽学園は出欠確認が厳格だから、途中で抜けられないんだってさ」

レモン「そう。それじゃあ、ディーとダムは無しにして、橙哉くんにはナレーションをお願いするわ」

トウヤ「了解」

レモン「灰二くんは、チョッキのウサギ役ね。耳は、三月ウサギ役の紺平くんと同じようにカチューシャに付けるとして。――ねぇ、ソラくん。お店で着てたベストに、予備はあるのかしら?」

ソラ「洗い替えが何着かあるよ」

レモン「それじゃあ、ゲネプロと本番のとき、一枚、学校に持ってきて、灰二くんに貸してあげてね。それから、あたしがやるハートの女王は、自前の真っ赤なワンピースで良いとして。――茶子ちゃんは、青いワンピースを持ってるかしら?」

チャコ「パステルブルーでも、よろしければ」

レモン「それで充分よ。その上に、フリルのエプロンとリボンをプラスすれば、アリスに見えるわ。えぇと、それから。――翠人くんはチェシャ猫か。太目のボーダーのトレーナーか何かがあると良いんだけど、ありそう?」

スイト「パーカーでも良いかな? 紺と白のボーダーなんだけど」

レモン「パーカーか。そうなると、猫耳はフードに付けることになるわね。それでも構わないかしら?」

スイト「良いよ。部屋着にしてるものだから、最悪、駄目になっても良いし」

レモン「それじゃあ、決まりね。紅太くんの眠りネズミは、声だけだし、ソラくんは照明だから、ジャージでも着てれば良いわね。あとは、銀司さんには音声をお願いするとして。――藍ちゃん。そろそろ覚悟は決まったかしら?」

アイ「帽子屋は男性だろう? わたしが照明係をして、地井くんが帽子屋をやれば良いだろうに。それなら、わざわざ制服を借りずに済むし」

レモン「駄目駄目。ソラくんは裏方タイプだから。それに、藍ちゃんの男装姿を見てみたいの」

コンペイ「本音は、後半だな。――大丈夫だって、藍ちゃん。スマートだから、何を着ても様になるさ」

レモン「むしろ、あのイケメンは誰だって噂になるから、ドンビーシャイ」

アイ「別に、恥ずかしいという訳では」

レモン「そう。それじゃあ、良いわよね?」

アイ「……全員の視線に、無言の圧力を感じる」

チャコ「無理強いはしませんけど、藍先輩なら、お似合いだと思います」

アイ「わかった。協力しよう。引き受ける」

レモン「ありがとう。ハァ、スッキリした」

  *

@宍戸家

ゲンスケ「俺は、クラスの合唱曲を練習するので忙しい」

月島「そうニベもないことを言わず、片手間で良いからさ。ビージーエムを頼むよ。音楽室で録音させて」

ゲンスケ「今度という今度は駄目だ。だいたい、何で俺の家に来たんだ?」

月島「学校で話しても、逃げられると思ってね。――おや?」

宍戸母「入るわよ、玄助」

ゲンスケ「だから、入ってから言うなって」

月島「お邪魔してます。風学園高校で音楽科を担当してます、月島です。玄助くんのお姉さんですか?」

宍戸母「はい」

ゲンスケ「堂々と嘘をつくな。俺の母親だろうが。――見え透いた世辞を言わないように」

月島「お世辞なものですか。いやぁ、お美しい限りで。この美貌には、ビーナスも嫉妬することでしょう」

宍戸母「まぁ、正直な先生。わたし、ダ・ヴィンチよりミケランジェロが好みでね。ダビデ像が理想体型なの」

ゲンスケ「全く役に立たない情報をありがとう。さっさと立ち去れ。塩を撒かれたいのか?」

月島「録音の件で首を縦に振るまで、美辞麗句を連ねるよ。――くれぐれも、ゼウスに見つからないようにしてくださいね。雷と一緒に、神々の世界へ連れて行かれるかもしれません」

宍戸母「あら、イヤだわ。もし、そんなことになったら、どうしましょう?」

ゲンスケ「大当たりして、焼き鳥になってしまえ。――今度の火曜日の放課後、手短に済ませるように」

月島「最初から、そう言えば良いんだ。――それでは私は、この辺でお暇します」


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