#029「兎を追って」
@生徒会室
アイ「他に希望は? ――はい、若竹くん」
ツカサ「わが演劇部は、クラブの本分に則り、ステージで観客に興奮と感動をお届けしたい」
アイ「ステージ、演劇、若竹。――はい、市庭先輩」
ヒビキ「軽音楽部は、赤レンガで生バンド演奏ってことで、よろしく」
アイ「生徒昇降口前、演奏、市庭。――天文部は、何を?」
ノゾミ「実験室で、プラネタリウム展示を」
アイ「北館だから、集客は望めないかもしれないことを念頭に置くように。実験室、展示、常盤。――あと、一年生二人は、何を?」
タクミ「模擬店を出そうかと」
アイ「料理部らしいね。正面通路、模擬店、産所。――美術部は?」
トオル「本館と中館を繋ぐ渡り廊下を、ギャラリーに変えようと」
アイ「なるほど。渡り廊下、展示、堀切。――それでは、一通り希望を聞き終わったので、今日の文化祭事前会議は、これで終わりとします。解散」
*
アイ「これが、各クラスの催し物をまとめた一覧表」
トウヤ「ありがとう。――二年は、一組が喫茶、二組が研究発表、三組が創作ダンス、四組が書道パフォーマンス、五組がお化け屋敷、六組が合唱なんだな」
コンペイ「俺、幽霊役なんだ。墓の影からヌッと出てきて、ウラメシヤァって驚かす係」
チャコ「一組の喫茶店は、ソラ先輩の発案ですか?」
ソラ「ううん。クラスの女子数人から。この前、土橋さんたちが来店したとき、金さんがケーキの写真をエスエヌエスにアップロードしてたでしょう? それを見たクラス女子たちや、その友人たちが、挙って店に来るようになってね。盛況なのは良いんだけど、お婆ちゃんが張り切りすぎて、そのうち倒れるんじゃないかと心配で」
スイト「フゥン。お婆ちゃん想いなんだね」
アイ「六組の伴奏は、やはり宍戸くんなのか?」
トウヤ「あぁ、そうだ。本人は嫌そうな顔をしてたけどな。――さて。あとは、開祭冒頭にやる生徒会の寸劇についてだけど、水沢と金が遅れてるな」
スイト「ホームルームが長引いてるのかもしれない。僕が来るとき、まだ三組は終わってなかったから」
コンペイ「河童大先生のアリガタイ訓示だな」
ソラ「体育の最後にお馴染みだよね」
チャコ「紅太先輩、そろそろ起きてください」
コウタ「ん? あれ? 水沢たちは?」
ハイジ、レモン、入室。
レモン「ごめんなさいね、遅くなっちゃって。あぁ、長い説教だった」
トウヤ「おつかれ。クラスで何かあったのか?」
ハイジ「掃除中に、雑巾でガラスを割った人間が居たものだから」
スイト「そういえば、後ろのドアの窓に、ダンボールが貼ってあったね」
コンペイ「何で雑巾でガラスが割れるんだ? 箒なら解るけど」
アイ「おおかた、ボール状に丸めて、野球の真似でもしてたんだろう」
ハイジ「その通り。キャッチアンドリリースの末に、パリーンといった訳」
チャコ「それは、先生が怒るのも無理ないですね。誰も怪我をしなかったのですか?」
レモン「幸い、みんな掠り傷程度で済んだみたい。それで、右脳で説教を話半分に聞き流しながら、左脳で寸劇について考えたんだけど」
コウタ「器用なことをするんだな。イルカみたいだ」
レモン「定番すぎて、ちょっとベタかもしれないんだけど『不思議の国のアリス』のパロディーはどうかと思うの」




