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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第四楽章 烈火の諧謔曲(スケルツォ)
19/47

#018「愛想と北叟」

@居酒屋チェーン店

スイト「遅かったね。二階で何かあったの?」

トウヤ「酔っ払いが吐いたから、その処理に追われてた。何で誰も来ないんだよ」

スイト「あっ、他に誰も居なかったんだ」

トウヤ「自分が行かなくても誰か行くだろうって全員が思ってるだろうと、思ってたところだけどな。あぁ。何故、神様は人類にアルコールを与えたのかと、嘆きたくなってくるぜ」

スイト「酔狂客は、大脳辺縁系が機能不全になって爬虫類に成り下がったと思えばいいよ。イグアナなら仕方ない」

トウヤ「おい、営業スマイルを消すなよ」

スイト「消えてた? ウッカリしてたよ」

トウヤ「あぁ、そうそう。クレーマーを理詰めで追い込むなよ、木場。逆上されたら敵わないんだから」

スイト「口論は、先に机を叩いた方が負けだよ、橙哉くん」

トウヤ「正論は時として、切れ味の鋭いナイフになることを知れ。何でも、火野と派手に喧嘩したそうじゃないか」

スイト「向こうが勝手に感情的になっただけだよ。僕は被害者さ」

トウヤ「十割で被害者か? カッとなって手を出してくる前に、木場の方から、何か神経を逆撫でするようなことを言わなかったか?」

スイト「僕はただ、分が悪くなって劣勢になると寝て逃げちゃうんだねって言っただけさ。だって、その通りでしょう?」

トウヤ「おぅおぅ。十二分に加害者じゃないか。あのな、木場。生徒会はチームで動いてるんだから、いざこざを起こしてギスギスした雰囲気を作らないでくれよ」

スイト「はいはい。適当に仲直りしておくよ。向こうのホトボリも冷めてるだろうし、こっちの腫れも引いてるし、好い頃合いだからね」

  *

スイト「言い過ぎたよ。ごめんね」

コウタ「俺も悪かった。痕は残ってないみたいだな」

スイト「あのあとは、僕の顔を見た天王寺さんが急いで保健室に行って、洲崎先生から保冷剤とガーゼを借りてきてくれたから」

コウタ「そうか。そうだったんだな」

スイト「取らないよ」

コウタ「え?」

スイト「地井くんのこと。友達を奪われると思ったんでしょう?」

コウタ「あぁ、何だ。そのことなら、もう良いんだ。地井とは別に、話し相手が見つかったから」

月島「仲直りできたようだね。――さて、火野くん。向こうの座敷で、みんな待ってるから急ごうか」

コウタ「あっ、はい」

月島「木場くんと日立くんも、適当に仕事を片付けておいでよ。乾杯のグラスは、九つ用意してもらってあるから」

スイト「はい。ん? 九つですか?」

コウタ「日立と水沢と金と木場。地井と土橋は欠席で」

スイト「あと、火野くんと天王寺さんと海原くん。それから先生を含めても八人のはず」

月島「もう一人、生徒会では無いけど、巻き込んでしまった人物が居てね。来れば分かるよ」

  *

@生徒会室

ソラ「他人のあしらいに慣れていると思ったら、日立くんと木場くんも接客のアルバイトをしていたんだ」

チャコ「翠人先輩いわく、社会勉強のためなのだそうですよ。紫苑さんと柳華さんも、同じチェーンの別のお店で働いてるそうです」

ソラ「同じ店舗でないのは、同じ場所に同じ苗字の人間がいると、お客さんが混乱するからだろうね。特に紫苑くんの場合は、素人目では日立くんと見分けが付かないし。――柳華さんは、木場くんのお姉さんだっけ。何かと凄い人物らしいね」

チャコ「えぇ。数年前までブラックバイトと悪評高かった職場を、各方面に掛け合ってホワイトにした、稀代の白魔法使いなのだそうです」

  *

@校長室

校長「この領収書は何かな?」

月島「生徒会内で、ちょっとしたゴタゴタがありまして。その解決に要した費用です」

校長「シーディーショップと、居酒屋か。宛名を上様ではなく月島とするところに、そこはかとなく悪意を感じるね」

月島「勘繰りすぎでしょう。それでは、私は、これで。失礼します」

  *

@本館一階

月島(さぁて。仕事の残りをサクサク片付けて、クローバーレンジャーと一緒に買った、あのシーディーを聴こうっと。ナツミちゃんの歌声は、天使の美声だもんなぁ。クフフ)

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