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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第三楽章 比較の輪舞曲(ロンド)
16/47

#015「双子と兄妹」

@カラオケ店

チャコ「高校に入ってから、赤と黒のボールペンでノートテイクすることを推奨されたこともあって、鉛筆を使う機会は、めっきり減りましたね」

シオン「試験も、マークシート以外は黒ボールペンだもんな」

スイト「社会人はボールペンを多用するから、大人への前段階として、今のうちから慣れておいたほうが良いんだよ。誤字か多かったり、筆圧が高かったりすると、すぐ疲れて勉強も仕事も捗らないからね」

チャコ「おかげで、どこに何を書くか、あらかじめ慎重に考えるようになりました」

シオン「段取りをする力が伸びるよな」

スイト「手に馴染むと、鉛筆やシャープペンシルより楽だよね」

アズサ「ちょっと。少しは、あたしの歌声を聞いてよ」

チャコ「わっ、ごめんなさい。つい、お喋りに夢中になってしまいました」

シオン「リズムも音程がずれてるのに、真面目に聴いてられるかよ」

スイト「同意だね」

アズサ「もぅ、何さ。誰も聴いてくれないなら、飲み物を取ってこようっと」

チャコ「あっ。わたしも行きます」

スイト「行ってらっしゃい」

アズサ、チャコ、退室。

シオン「最近、柳華さんとは上手く行ってるのか?」

スイト「そっちこそ、双子同士で仲良くしてるの?」

シオン「質問に質問で返すなよ。俺のほうは万事、問題無い」

スイト「こっちも、姉とは付かず離れずを保ってるよ」

シオン「最初から、そう言えば良いんだ。コンプレックスは克服したか?」

スイト「劣等感は持ったままだけど、違いを受け入れる努力はしてるよ。人並み外れた才能と容姿に恵まれ、いつも特選最優秀」

シオン「楽学園のレジェンド・ガールだもんな。天才、鬼才。枠にはまらない常識はずれ。型破りで発想力豊か」

スイト「それに比べて僕は、何をやっても、それなり、そこそこ、歩留まり終い。十人並みで、せいぜい佳作止まり」

シオン「努力型の秀才も、充分に立派だと思うけどな」

スイト「当たり障りない、平均、平凡、一般範囲内。毒は無いが、薬にもならない人畜無害、無味乾燥、有無同然の存在。邪魔にならず、役に立たず。熱くならず、冷めもしない、ぬるま湯人間。他人の便利屋、いい人扱いが関の山だよ」

シオン「そうやって卑下することで、自分を誤魔化して良いのかなぁ」

スイト「芸術一家の木場家にとっては、お荷物でしかないよ。木偶の坊さ」

シオン「褒められず苦にされず、か? 全部、言い訳にしか聞こえないな。どうせ、本気になって失敗したらダサいから、斜に構えてるだけなんだろう?」

スイト「わかったような口をきくな」

シオン「そう、それだ。そうやって感情でぶつかって来てくれなくちゃな」

スイト「徐々にギャップを埋めるさ。でも、今はこのままでいさせて」

シオン「まだまだ、時間が掛かりそうだな。ハハッ」

スイト「ところで。会長くんと制服を交換して、二人は騙されたようだけど、僕の目は誤魔化せないよ、紫苑くん」

シオン「ヘヘッ。やっぱり気付かれてたか。いつ、分かったんだ?」

スイト「見た瞬間に、成り済ましてるとは思ったけど、決定打はソレだよ」

シオン「ん? この操作端末で、どうして?」

スイト「神園さんに渡されたとき、一瞬、左手でペンを持とうとしたでしょう?」

シオン「バレてたか。観察眼が鋭いな」


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