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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第三楽章 比較の輪舞曲(ロンド)
12/47

#011「学問と進む」

@資料室

チャコ「物理って難しいですね。――この問題は、この公式で合ってますか?」

スイト「二年生になって、ベクトルを習えば簡単なんだけどね。――合ってるよ。でも、ここは、こうして先に公式を変形させてから代入した方が、楽に計算できるよ」

アズサ「木場先生。マシンガンと逆鱗の授業では、ベクトルが理解できませんでした」

チャコ「マシンガンは、矢継ぎ早な数学の大石先生で、逆鱗は、怒りっぽい理科の今津先生のことですか?」

スイト「そうだよ」

アズサ「ちなみに、テッペン禿げの大物先生は、河童。口角泡の熱弁をする姫島先生は、蟹さんだよ」

スイト「素晴らしく無駄な補足情報をありがとう。――高校は義務教育じゃないからね。ついて来れない人は置いていきます」

チャコ「まぁ、そんな冷たいこと言わないであげましょうよ。こうして、テスト勉強の場を提供していただいてる訳ですし」

アズサ「そうだ、そうだ。教えてくれないなら、ここから締め出すぞ」

スイト「あっ、そう。そちらがその気なら、僕たちは今すぐ退散するよ。でも、自力で勉強して、四割の峠を越えられるのかな?」

アズサ「ウッ。痛いところを突かれた」

  *

@生徒昇降口

ミツテル「師匠。どうか、不肖星見光照に、ご指導ご鞭撻の程を」

ゲンスケ「裾に縋りつくな。生地が傷むだろうが。弟が着るかもしれないんだぞ」

ミツテル「首を縦に振るまでは、手放せません」

ゲンスケ「シツコイな。今日は、どうしても早く帰らなきゃ駄目だと言っただろう」

ミツテル「妹さんのお迎えでしょう? お供しますから」

ゲンスケ「オイ。まさか、そのまま俺の家に上がりこむ気か?」

ミツテル「師匠に続くよ、どこまでも」

ゲンスケ「ハァ。勝手にしやがれ。――あれ? 靴が無い」

ミツテル「ハイ、勝手にします。――あなたが探している靴は」

ゲンスケ「金でも銀でも無い、普通の運動靴だ。褒美はいらないから、早く返せ」

  *

@図書室

ソラ「傍線部エーって、どこにあった?」 

コウタ「第三段落の七行目。それ、とは何を指しているか答えよ」

ソラ「いつも寝てるのに、テストの点数は良いよね」 

コウタ「煮〆の国語は、勉強しなくても八割取れるから」

ソラ「勉強して満点取ったら、野田先生は喜ぶと思うけどなぁ。――答えは、二番か四番か。うぅん、どっちだろう。四番かな」

コウタ「最終解答?」

ソラ「懐かしいね。それで、どっちなの?」

コウタ「残念。正解は五番。観客に訊けば良かったな」

ソラ「もしくは、コンピューターで半分に絞ってから、誰かに三十秒だけ電話するかだね」

シズカ「長者クイズで盛り上がってるところ恐縮ですが、ここは図書室ですので、場を弁えてくださいね」

コウタ「すみません」

ソラ「気をつけます」

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