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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第二楽章 疑惑の小夜曲(セレナーデ)
11/47

#010「はなして」

@生徒会室

アズサ「何だ。不倫相手の正体は、ヤンママだったのか」

スイト「とんだ早とちりだったようだね。それにしても、五人きょうだいとは、いまどき珍しい」

チャコ「それだけ賑やかな家庭なら、対人恐怖という訳では無さそうですね。どうして、いつも単独行動なんでしょう?」

トウヤ「家が騒々しいから、学校では一人静かに居たいそうだ」

アズサ「まったく。紛らわしいことをしないで欲しいわ」

スイト「裏付けも無しに暴走するほうが悪いと思うけどね。これに懲りたら、他人のプライベートに土足で踏み込まないことだよ」

チャコ「翠人先輩に同意です」

トウヤ「自慢のカメラを投擲で燃やさないゴミにされたくなかったら、自重するように」

アズサ「あぁ、窓の外にはプラハの街並みが」

スイト「聞いてないね。所持者ごと投げ飛ばされたいのかな?」

チャコ「ここは二階ですから、やめときましょう」

トウヤ「そうだな。抛り上げるなら、三階以上のほうが良い」

アズサ、スイトの背中にしがみつく。

アズサ「そんな惨いこと言わないでくださいよぉ。クラスメイトじゃありませんか。あっ、フローラルな香り」

スイト「ニットが伸びるから、引っ張らないでくれるかな」

チャコ「翠人先輩も困ってますから、離してください」

トウヤ「そうだぞ、神園。見てて暑苦しいから、さっさと離れろ」

アズサ「クンクン。この匂いは、まさか五番?」

スイト「柔軟剤だと思うよ。香水をつける習慣は無いから」

チャコ「藍先輩を呼びましょうか?」

トウヤ「それは良いな」

アズサ「わぁ、わぁ。離れますから。それだけは勘弁してくだせぇですだ」

  *

@中館二階

アズサ「不審に思わないように先に言っておくけど、あたしにとって木場くんは、ただのクラスのお友達だよ」

チャコ「翠人先輩も、ただのクラスメイトとして認識されてますけど、それにしては仲が良すぎるような、距離が近すぎるような気がします」

アズサ「いやいや。あたしは誰に対しても、あのくらいの距離感だから。木場くんが特別ってことは無いよ。それに、土橋ちゃんには憧れの先輩であり、想い人なんでしょう? 横取りする気は無いわ」

チャコ「えっ。梓先輩、どうして?」

アズサ「あれ、違ったの? てっきり、付き合ってるものだとばかり。告白して無いんだとしたら、早く言いなよ。ぐずぐずしてると、卒業しちゃうから。それに、木場くんは土橋ちゃん以外には振り向かないと思うわ。裏付けは無いけど、これは間違いないから。何なら、二人きりになれるようにセッティングしてあげようか?」

チャコ「いえ。お気持ちだけで」

アズサ「そうかい。二人のことは、あたしも応援してるから。困ったら相談してね」

チャコ「ありがとうございます」


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