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組曲「生徒会」  作者: 若松ユウ
第二楽章 疑惑の小夜曲(セレナーデ)
10/47

#009「クインテット」

@音楽室

トウヤ「あれ? 今日は、宍戸は居ないんですか?」

月島「今日は月曜日だから来ないよ。ここは、月水金は吹奏楽部が使うことになってるから。それに、月金は妹さんのお迎えに行かなきゃいけないらしいし」

トウヤ「えっ。宍戸って、一人っ子ではないんですか?」

月島「違うよ。宍戸家は五人きょうだいで、玄助くんは長兄なんだ」

トウヤ「そうですか。ん? 月島先生は、神園の写真を見てますか?」

月島「いいや。私は、あくまで話を取り次いだだけだから」

トウヤ「なるほど。(これは、天王寺の読みが当たってそうだ)」

月島「何か閃いたようだね」

トウヤ「確かめたいことができたので、これで失礼します」

月島「気をつけて、いってらっしゃい」

  *

@宍戸家

ヤヨイ「オレンジは、お姉ちゃんのよ」

ハヅキ「イヤ。葉月もオレンジが良い」

ケイジ「僕がグレープにするから、葉月にあげて」

ヤヨイ「もう。葉月に甘いんだから。ほら、影児にお礼を言いなさい」

ハヅキ「ありがとう、影児お兄ちゃん」

キサラギ「ただいま。お兄ちゃんは?」

ハヅキ「ここにいるわよ」

ケイジ「僕じゃなくて玄助兄ちゃんのことだよ、葉月」

ヤヨイ「おかえり。お兄ちゃんなら二階よ」

キサラギ「そう。ありがとう」

  *

キサラギ「お兄ちゃん。玄関で、高校のお友達が待ってるわよ」

ゲンスケ「俺の友達だと? 誰だろう」

  *

ゲンスケ「何しに来たんだ? もう、俺に用は無いはずだろう」

トウヤ「あれから、別なゴシップが舞い込んできてさ。噂の真相を確かめるついでに、親睦を深めようかと。お菓子も買ってきたんだ。五人きょうだいだと聞いて、ファミリーパックにしたんだぜ」

ハヅキ「わぁ、お菓子がいっぱい」

ゲンスケ「こら、葉月。部屋に居なさい」

トウヤ「へぇ、葉月ちゃんっていうのか。今日も放課後に、お迎えに行ったそうで」

ゲンスケ「致し方ない事情があるからだ。決して、進んでのことではない」

ハヅキ「お兄ちゃんがお迎えの日は、帰り道にキャンディーをくれるから好き」

トウヤ「面倒見が良いんだな。あっ。だから、ダッカールを知ってたのか」

ゲンスケ「葉月。それは内緒だって言っただろう」

ハヅキ「ハッ。そうだった」

トウヤ「素直じゃないな。もう一点、確認したいことがあるんだけど、上がっても良いか?」

ゲンスケ「断っても、日を改めて来る気だろう。それに、貴様を門前払いしたところで、別の人間をよこすに決まってる。面倒だから、さっさと済ませろ」

トウヤ「察しが良いな。お邪魔します」

  *

トウヤ「葉月ちゃんは年中組として、あとの三人は? ――香車を進めて、と」

ゲンスケ「如月が中二、弥生が小五、影児が小二だ。 ――桂馬を駆けて、と」

トウヤ「見事に三年ごとだな。 ――それは痛いな。角行を戻して、と」

ゲンスケ「あぁ。そのせいで来年は、俺と如月と弥生が受験生なんだ。 ――良いのか? 飛車でいただくぞ」

トウヤ「おぉ。そいつは大変だな。 ――しまった。見逃してたな。あっ」

宍戸母「玄助。入るわよ」

ゲンスケ「入ってから言うな」

トウヤ「お邪魔してます」

宍戸母「あなたが、玄助のお友達ね。珍しいこともあるもんだわ。ちょっと天邪鬼なところもあるけど、根は良い子だから、仲良くしてあげてね」

ゲンスケ「ベラベラと、余計なことを」

トウヤ「いやぁ、それにしても、お若いですね。五人も産んで、このスタイルか。神様は不公平だな」

宍戸母「まぁ。正直な子、好きよ」

ゲンスケ「喜ぶな。社交辞令に決まってるだろう」

トウヤ「お世辞抜きにしても、とても高校生の母親には見えませんよ」

宍戸母「あらあら。これは、記念に出前を取ってお祝いしなきゃ。フライドチキンとピザで良いかしら?」

ゲンスケ「何の記念だ。無駄遣いするな」

トウヤ「そう、カッカするな。何なら、俺も負担するから」

宍戸母「大丈夫よ。たまにはパーッと派手なことしなくちゃ。いつも頑張ってくれてる御礼も含めてるのよ?」

ゲンスケ「勝手にしろ。……明日から弁当は日の丸だな」


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