それぞれの想い6
『ウウゥ〜…』
空中庭園で炎が上がった為に街中にサイレンが鳴り響いた。
「ん?火事でもあったのか?」
春日は、部活動中だった為に、ストレッチをしていたが、その動作を止めて、上空を見上げた。
空中庭園で上がってる煙が、上空に立ち上る様子が学校の校庭からも見て取れた。
一方の翔は、国帝公園の中にある、図書館で尋伊と二人でテストに向けての勉強をしていた。
図書館に居ても、サイレンの音は聞こえてきた。
「何処か近くで火事が起きたのかなぁ…怖いねぇ…」
尋伊は翔の勉強する様子を見ながら、そんなことを言っていた。
当の火事現場の翼と摩夜はと言うと、目の前の『黒翼』の仲間であろう少女を逃すまいと、二人で同時に少女に攻撃を仕掛ける事を考えていた。
「タイミング合わせて、行くぞ!」
ダッ!
二人で同時に剣と銃で、追い込もうとした所に、真横から突然氷で出来たナイフが飛んできた。
「氷のナイフ…セシルか!」
その翼の声に、草むらから姿を現したのはセシルと言う名の青年だった。
綺麗な長い水色の髪の毛に、白のナイトの正装で現れた。
セシルのナイフはマイカの左腕に刺さり、マイカは自分の実力を放出し続ける事が出来なくなった。
手の傷口からマイカの身体が凍り始めてきた。
そして、周りに広がっていた火の手もおさまってきた。
セシルは自分専用の、細長い剣を取り出した。
「さぁ、もうこんな事は止めなさい。大人しくしてくれれば、我々は何もしないよ」
しかしマイカは相変わらず、無表情だった。
「…なんか、面倒…私、やっぱりもう帰る」
そう言うと、マイカは高さが30メートルはありそうな庭園から、西の森のある方角に飛び降りて行ってしまった。
「また逃げられたか…」
「今のは相手が悪かったわ、命が助かっただけでも良しとしましょう…」
セシルは二人に先程、分かった事実を明らかにした。
「恐らく、ここに来る前に…あの少女が、養護施設を襲撃したんだ。
全員、一撃でとどめを刺されていて…遺体の体のどこかしらに☓マークを刻んで行くらしいね。
そして、天使の象徴である、天使像の頭を切り落としていた。
それだけじゃなくて更に、火事を起こして姿を消してる…」
「あんな子供が、そんな残酷な事を…?一体何があったのかしらね…」
「何にしても…これから出没する黒翼にも、今まで以上に気を遣う必要があるな」




