それぞれの想い5
「何…この子…ちょっと異常だわ…半端じゃない魔力を持ってる…」
摩夜は銃を構え、段々と近付いて来る少女から、少しずつ距離をとる。
「こいつ尋常じゃない力を持ってる。油断するなよ!」
翼は少女の鎌を剣先で受けると押し返した。
「あなたは、何ていう名前なの?お家は何処なの?」
摩夜は警戒をとく事無く、少女を睨みつけた。
「私はマイカ。今日は楽しい事があるって聞いて来たのに…つまらない、残念…」
この言葉で、一瞬このまま撤退してくれる事を望んだが、そうは行かなかった。
「ねぇ…お兄ちゃん、お姉ちゃん。私ともっと遊ぼう…」
マイカはそう言いながら、巨大な鎌を振り下ろして来た。
『ガンッ!』
翼は摩夜を庇うように、前に飛び出してマイカの鎌を切り伏せた。
「このガキは多分、黒翼の仲間だ…絶対に逃がすなよ!」
黒翼とは元は天界で天使とともに有りながら女神を裏切り、戦争を起こした者として、天界から人間界に落とされた者達がそう呼ばれている。
「こくよく…?良くわからない…けどね、皆を壊して来いって…」
「それは一体、誰に言われたの?」
摩夜は冷静にマイカに話しかける。
「…翼のはえた人をコロしてこいって…言われたの…」
そう言うと、再び両手の鎌で、まるでリズムを刻む様に翼に攻撃を加えて来る。
「さっき…翼のはえた人を壊してきたけど、違ったみたいなの…本物はどこ…?」
翼は少女の真の目的を理解した。この少女は『翼の生えた人=天使の末裔』を抹殺しに来たのだと。
以前から、そんな言葉を残して行った犯人が、残虐で悲惨な限りを尽くしてきた事件の現場をいくつも見て来た。
「お前は、天使を探しているのか…?」
翼は確信に近いものを感じ、目の前のマイカに声をかけた。
「これ以上は言えない…もう、飽きたから帰る。でも、その前に…あなた達をコロす…」
マイカは、鎌を俊敏な程に操り、翼は攻撃を出来ずに、防ぐので手一杯だった。
そんな翼の後ろから、摩夜はマイカに向かって、銃を撃った。
「ズドン!」
『ゴォッ…』
摩夜の銃には魔法弾が仕込まれていた。そして、マイカに向かって放った一撃は呆気なく鎌で真っ二つに切り裂かれ、そのまま炎が起き、周りは火の海になっていた。
「失敗したわ。これじゃあ逃げられない…」
摩夜と翼は逃げ場を失い、完全にマイカのペースで事態は悪い方へと向かっていた。




